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病気を媒介 マダニ注意 発熱したら病院へ

(2016年9月7日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
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 マダニにかまれた北海道の40代男性が8月中旬、ダニ媒介性脳炎で死亡した。マダニは複数のウイルスや細菌を媒介しており、国内で2005年以降、50人以上が死亡した。専門家は、野山や田畑に行く際は肌を覆う衣服を着用し、かまれた後に高熱が出た場合は早く病院に行くよう訴える。 (稲田雅文)

 北海道によると、男性は7月中旬、道内でマダニにかまれ、皮膚に食い込んだ個体を皮膚科で取ってもらった。その後、発熱や意識障害、けいれんなどの症状が出て入院。1カ月後に、ダニが媒介するフラビウイルスによる脳炎で亡くなった。海外渡航歴はなかった。

 マダニはフラビウイルスの他にも、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を発症させるウイルス、日本紅斑熱やライム病などの原因となる細菌などを媒介する。ウイルスによる病気に治療法はなく、対症療法が中心。細菌には、抗菌薬で治療が可能だ。

 男性の死亡原因となった脳炎は1993年に北海道南部で発症例があり、今回が国内2例目。SFTSは石川県や三重県以西の20府県で約200人の患者が確認されている。

 海外でダニ媒介性脳炎による被害が大きいのは、ロシアからドイツ、オーストリアにかけての中央ヨーロッパだ。年間6千人以上の患者が出ており、森林に入る仕事をする人らが予防のためワクチン接種を受けている。日本では、輸入ワクチンを接種できる医療機関もある。

 「マダニにかまれたとしても、発症するのはまれ。パニックになることはありません」と話すのは、ダニによる感染症を研究する愛知医科大講師の角坂照貴さん(64)。マダニが媒介する病原体には地域によって違いがあり、今回死者が出たダニ媒介性脳炎は、北海道以外では発症しない可能性が高いという。マダニは、吸引したりするとアレルギーを引き起こすイエダニとは別の種類。

 角坂さんによると、予防策はまず、マダニにかまれないように注意すること。マダニは動物の血を吸って成長するため、シカやイノシシなどの野生動物が多い野山のほか、畑、あぜ道などにも生息する。春から秋にかけてマダニの活動が活発になり、かまれる危険性が高くなる。

 高さ1メートルほどの植物の葉陰に潜み、動くものに飛びつく習性がある。草の茂った場所に入る場合は、長袖や長ズボンを着用してなるべく肌の露出を避ける。虫よけスプレーも効果がある場合がある。

 マダニにかまれても、麻酔のような物質を体内に注入するため痛みを感じないことが多い。気づかないでいると、数日吸血し続けて1センチ以上に大きくなることもある。

 皮膚に食い付いたマダニを見つけた場合は、皮膚科などで適切に除去してもらうことが大切だ。マダニを自分で取ろうとすると一部が体内に残って感染原因になる場合があるほか、つぶすと病原体が飛び散って目などの粘膜から感染する可能性がある。

 かまれたことが分かった後は、発熱するかどうかに気をつける。いずれの感染症も、2日から2週間程度の潜伏期間をへて38度以上の高熱が出る。角坂さんは「発熱した場合は、一刻も早く治療を始めることが大切。すぐ病院に行き、必ず医師にかまれたことを伝えて」と注意を促す。

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