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患者の願い踏まえ指導 医療法人偕行会 透析看護認定看護師 熊沢ひとみさん

医人伝

(2016年9月13日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

医療法人偕行会(名古屋市中川区) 透析看護認定看護師 熊沢ひとみさん(46)

画像透析患者らへ渡すマニュアルの内容を確認する熊沢ひとみさん

 糖尿病などで腎臓の機能が悪化した患者が受ける人工透析。多くの患者が1回に4時間かかる治療を、1日おきに生涯続ける。食事や水分摂取の量など、患者の自己管理も求められる。患者の体のケアだけでなく、その苦痛を和らげ、精神的に支えることも重視する。偕行(かいこう)会の透析事業本部管理部長として、系列の透析施設20カ所の看護水準の底上げに努めている。

 主に愛知、三重両県の透析施設に出向き、職員らの対応などを確認。良いやり方はすぐに、全施設で展開するよう呼び掛ける。透析医療を受ける人に手渡すマニュアルもつくり、心構えや注意点を説明している。

 名古屋市中川区出身で地元の高校を卒業後、市内の看護学校で学びながら、偕行会が運営する名古屋共立病院に勤務。外来の仕事にやりがいを感じていた20歳のころ、透析室での勤務を告げられた。ショックで退職も考えた。「透析看護はただ患者の腕に針を刺し、機械を回すイメージだった」からだ。

 透析室では、信頼関係を築いた患者が次第に衰え、亡くなる現実に直面し「患者のために自分ができることは何か? 透析の看護を極めたい」と腹をくくった。とはいえ「最初は手探りで、食事や水分の取りすぎを上から目線で指導するばかりだった」と振り返る。

 そんな時、80代の女性患者から「いろんな厳しい制約を受けて、1、2年延命しても仕方がない。ここまで何とか生きてきたから、残りの人生は好きにさせて」と言われた。患者の身体状態の管理ばかりにこだわり過ぎていたことに気付かされた。「希望を全てだめと言うのではなく、年齢や状況から、好きなものをどの程度なら食べられるか、患者と一緒に考えて、折り合いをつけることが大事」

 2010年には、日本看護協会が設けた透析看護の認定看護師の資格を取得。子ども3人を夫に任せ、東京女子医大の教育課程に半年間通い、個々の患者に合わせた看護をするための理論などを学んだ。

 最近は、透析前から足の血流が悪くなったりする合併症や認知症などを抱えるケースが多い。「少しの傷でも放置すると悪化しやすく、早めの処置が必要。透析中に針を抜こうとする認知症の人もいる。注意点は患者によってさまざま。看護の適切さが強く求められる分野」と力を込める。(出口有紀)

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