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精神指定医89人 資格を取り消し

(2016年10月27日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

 厚生労働省は26日、精神障害のある患者の措置入院の要否などを判断する「精神保健指定医」資格を不正に取得したなどとして、医師89人の資格を取り消す行政処分を決めた。実際には担当していない患者に関する虚偽の症例リポートを提出するなどしていた。同日、医道審議会の専門部会から答申を受けた。発効は11月9日。厚労省によると、一度にこれだけの人数の指定医が行政処分を受けるのは初めて。患者や地域の精神医療への影響も懸念される。

 一方、現在申請中の5人についても不正の疑いが浮上し、うち4人の申請を却下した。一人は自ら申請を取り下げた。

 厚労省は再発防止に向け、申請者に対する面接の導入などを検討する意向を表明。89人については業務停止などの処分も検討する。処分対象者が関わった措置入院が適切だったかどうかも自治体などに確認するという。

 厚労省によると、処分されたのは資格を不正申請した医師49人と、指導した医師40人。不正なリポートに使った症例を診察した際の所属医療機関の所在地は群馬、千葉、東京、神奈川、愛知、京都、大阪、兵庫、岡山、高知、長崎、沖縄の12都府県に及ぶ。

 昨年資格が取り消された聖マリアンナ医大病院の23人とは別の同病院の医師も含まれている。

 厚労省は、昨年4月に発覚した聖マリアンナ医大病院の医師による不正取得問題を受け、2009年1月から15年7月に資格申請した3374人が提出し、同省が保管していた症例リポート3万1195件を調査。同じ患者の同一期間の症状を扱うなどしたリポートが多数あり、98人から事情を聴く「聴聞」を経て89人の不正取得を認定した。調査の過程で相模原の障害者施設殺傷事件で逮捕された容疑者の措置入院に関わった指定医の不正取得疑いも判明したが、聴聞前に自主返上したという。

 精神保健指定医の資格を取り消された氏名と、不正なリポートに使った症例を診察した際の所属医療機関名は次の通り。(関係分、肩書略)

 【指定医】

 ◇愛知 宮沢利和(39)、長谷川裕記(39)、野口貴弘(40)=愛知医科大病院

 【指導医】

 ◇愛知 松原桃代(57)、木村仁(54)、多羅尾陽子(43)、鈴木滋(58)=愛知医科大病院

 精神保健指定医 精神保健福祉法に基づく資格で、今年4月時点で全国に1万4707人いる。精神障害があり他人への危害や自傷の恐れがある患者を強制的に「措置入院」させたり、家族らの同意だけで「医療保護入院」させたりする必要があるかどうかを判断する。精神科医として3年以上の実務経験や、資格を持つ指導医の下で統合失調症や児童・思春期の精神障害など8例以上を診断したリポートを提出することなどが要件。厚生労働相が審議会の意見を聞いて指定、取り消しをする。昨年、聖マリアンナ医大病院で不正取得が発覚。医師11人と指導医12人の資格を取り消し、業務停止1〜2カ月の行政処分を出した。

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