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もしかして【夫源病】?(下) 妻への依存 過度にしない

(2016年11月4日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
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 主に定年退職後の夫の存在が妻のストレスの原因となる「夫源病(ふげんびょう)」。名付け親の大阪樟蔭女子大の石蔵文信教授は、「夫源病と、中高年男性の生き方はワンセットの問題」とみている。

 石蔵さんは2001年から男性の更年期外来を開設している。男性の症状は気力、集中力が出ない、眠れない、頭痛、めまい、動悸(どうき)など。これが夫源病の背景にもなっている。体調不良の原因は、在職中と退職後に大きく分けられる。

 在職中は働き過ぎなど職場のストレスが大きい。ただ、最近は各職場でうつなどメンタルな問題に理解が深まり、解決の道も開けてきた。在職中の男性のうつ症状には「最近は子育てをはじめとする家族関係の悩みも背景にある」という。

 一方、定年退職後は職場のストレスはなくなるが、やるべきことも、やりたいこともなくなることがつらくなってくる。この状態を石蔵さんは「ストレスなきストレス」と呼ぶ。「時間の使い方が分からない」「生きがいが見つからない」という人がなりがちなのが「ワシも族」。

 例えば妻の買い物などの外出に「ワシも」と付いていくことから名付けられたらしい。付いていかなくても、外出先をチェックしたり友人関係に干渉したりすると、妻がストレスで体調を崩してしまう。

 「お前(まえ)も族」というタイプもある。自分が外出する時に、「お前も来い」と妻に同行を求め、外出先であれこれと指示を出してこき使う。リタイア後に嫌われるのは、現役時代の感覚が抜けず妻を部下のように扱ってしまったり、上司のような感覚で家計簿をチェックしたりすること。

 では、嫌われないためにどうしたらいいか。

 定年退職前後の男性向けのアドバイスをまとめた「57歳からの意識革命」(双葉新書)の著者でもある石蔵さんは「定年退職の3年ぐらい前からは退職後の具体的なプランを考えた方がいい」と説く。そして、退職後も新たな仕事や、ボランティアなど社会参加の重要性を強調する。

 さらに、料理など家事を覚えることを勧める。石蔵さんは定年退職後、それまでにはしなかった夫の昼食を作ることが妻の苦痛になる症状を「昼食うつ」と呼んでいる。定年退職後の夫が昼食を作るようになれば、この解消にも役立ちそうだ。そして「もし妻が介護状態になったり先立たれたりした場合、家事能力は死活問題になります」と強調する。

 その上で夫源病の防止のために夫が心がける点として、まず自分が意識改革をして上から目線で妻を見下したり、過度に依存しないことを挙げる。他人の前で良い夫らしく振る舞う「外づら」の良さも妻に嫌われる。そして夫婦の日常会話を復活させることだ。

 石蔵さんは男性に対し、夫婦関係を改善したければ「ありがとう」「ごめんなさい」「愛している」という言葉をまめに妻にかけるようアドバイスする。

 そして、妻の誕生日や結婚記念日は何か特別なことをしてポイントを上げる絶好のチャンス。絶対に忘れてはいけないという。必ずしもお金を過度にかけなくてもいい。「記念日当日に贈る一輪の花は、3日後のダイヤにも勝る」。石蔵さんの作った格言だ。 (福田淳一)

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