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胃がんの転移促す分子 名大助教ら発見 新薬開発に期待

(2016年12月4日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
画像(左)腹膜播種を再現した状態で分子の働きを抑えていないマウス。がん細胞(青い部分)が広がった (右)遺伝子操作などで分子の働きを抑え、がん細胞の増殖を止めたマウス=いずれも神田光郎助教提供

 胃がんの転移による疾患の中で最も患者数が多く、最も治療が困難とされる腹膜播種(ふくまくはしゅ)で、がん細胞の働きと関係が深い分子を名古屋大大学院医学系研究科の神田光郎助教(消化器外科学)らのグループが突き止めた。分子の働きを阻害することで、がんの進行を抑えられるといい、新たな治療薬の開発が期待される。

 腹膜播種は、大きくなった胃のがん細胞が胃壁を突き抜け、腹膜に種をまくように散らばって付着する疾患。多数のがん細胞が点在するため切除が難しく、抗がん剤も効きにくい。胃がんが転移したケースの7割が腹膜播種とされる。

 グループは遺伝子の違いを高速で調べる先端機器を使い、胃がん患者から採取した、がん細胞の分子5万7751個を解析。腹膜へと転移したがん細胞では「シナプトタグミン8」と呼ばれる分子が盛んに活動していることが分かった。

 がん細胞の遺伝子を操作し、この分子の働きを人工的に抑えると、細胞の増殖力がほぼ半減し、抗がん剤の効果も高まったという。マウスに腹膜播種を発症させて実験したところ、分子の働きを抑えたマウスは生存期間が平均して50日近く延びた。

 神田助教は「この分子を標的にする薬が開発できれば、抗がん剤と併用し生存期間を延ばせる」と話す。転移前にこの分子の有無や量を調べれば、腹膜播種の発症リスクを予測できる可能性もある。

 成果は3日付の米科学誌電子版に掲載された。

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