つなごう医療 中日メディカルサイト

めまい患者に向き合う 富山大医学部 將積日出夫さん

医人伝

(2016年12月13日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

富山大医学部(富山市) 教授 將積日出夫さん(59)

画像めまい治療の機器を扱う將積日出夫さん

 内耳の病気の検査や治療で、実績がある富山大病院耳鼻咽喉科を束ねる。「めまいは脳の病気が疑われることもありますが、耳に原因があることもあります」。めまいをもたらす病気として知られるメニエール病は、内耳にリンパ液がたまり、むくみが生じることで、これらの感覚器に影響するのが原因とされる。

 服薬が無効だった場合、リンパ液の排出路をつくる手術などが、これまでの一般的な治療法だ。しかし、入院が必要となるなど、患者の負担は重い。10年ほど前に、鼓膜をマッサージする機械で症状を和らげる治療に取り組み、通院での治療を可能にした。この治療法は現在、国内の医療機関10カ所ほどで取り入れられている。

 新たな検査法も確立した。リンパ液の排出を促す薬剤を投与して、前後の変化を調べると、むくみの程度が推定できる。以前は一部の感覚器が対象だったが、將積さんらのグループの研究で、別の感覚器も調べられるようになった。

 医師を志したのは、高校時代だ。病床の祖父に真摯(しんし)に向き合う主治医の姿勢に感銘を受け、「一生をささげられる仕事だ」と感じた。富山医科薬科大(現富山大医学部)に進み、同郷の教授に誘われて、めまいの研究を始めた。米国留学で英語での研究発表に慣れ、海外の学会に積極的に参加するように。「新たな検査法はスウェーデンでヒントを得た。常に海外の最新の情報を仕入れることを心掛けています」

 疑問は納得できるまで突き詰める性分。学生時代には、富山県朝日町で飲み継がれている黒茶「バタバタ茶」に興味を持ち、発酵の仕組みを調べた。

 その性分は、臨床や研究でも発揮されている。「臨床で感じた疑問を研究し、結果を臨床に役立てる。その積み重ねです」。研究の成果が得られた時はもちろん喜びを感じるが、「緊張した面持ちで診察に来た患者さんとじっくりと話し、笑顔が見られた時がうれしいですね」。

 メニエール病の発症にはストレスが影響するとされ、国内では10万人当たり30〜40人が症状に悩んでいる。「最近は60〜70代の発症が増えている。働く高齢者の増加や老老介護などが影響しているのでは」。ストレスが多く、高齢化が進む現代社会で、果たせる役割を探っている。(山本真士)

同じ連載記事
骨の病気、臨床も研究も 信州大医学部 中村幸男さん (2017年4月25日)
救急から在宅まで一貫 斉藤雄二さん (2017年4月18日)
乳がん治療、連携を強化 福井県立病院 大田浩司さん (2017年4月4日)
スムーズな復職へ導く 仕事と治療の両立支援ネット ブリッジ 服部文さん (2017年3月28日)
「頼みの綱」重責を力に 滋賀県立小児保健医療センター 吹上謙一さん (2017年3月21日)
同じジャンルの最新ニュース
「耳のふさがり」が頻発 (2016年10月25日)
夏の咳 1カ月ほど続く (2016年8月9日)
自転車日本縦断 体験語る (2016年7月5日)
補聴器の聞こえ方調節を (2016年6月1日)
互いの目となり耳となり (2016年3月18日)

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人