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乳がん検査 技術進化し高精度 小さな病変も診断が容易に 挟まず痛くないPET

(2016年12月13日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する
画像映像を見ながら、病変が悪性かどうかを診断する中野正吾部長=愛知県長久手市の愛知医科大病院で

 日本人女性の12人に1人がかかる乳がんは、早期に発見し治療を受ければ、高い生存率が見込める。手術による乳房の切除を最小限にとどめたり、受診率向上を目指して乳房の検査時の痛みをなくしたりと、検査装置や医療技術は年々進化している。(芦原千晶、河野紀子)

 「これまで対応できなかった小さな病変の位置を特定して、悪性か良性か診断できるようになった」。新型検査機器「リアルタイムバーチャルソノグラフィ」(RVS)を導入した愛知医科大病院(愛知県長久手市)乳腺・内分泌外科の中野正吾部長は話す。

 RVSは、磁気共鳴画像装置(MRI)とコンピューター断層撮影(CT)による体の断面の静止画像と、超音波検査の画像を重ね合わせて表示できる。日立メディコ(現日立製作所)が開発した。

 中野部長によると、乳がん診断では、MRIやCTで発見した病変が悪性のがんなのかを判断することが重要だ。そのためには、超音波検査でリアルタイムで体内の様子を見ながら、病変に針を刺して組織を採取する必要がある。ところが超音波検査の画像解像度が低いため、病変の正確な位置が分かりづらかった。

 RVSの映像は鮮明で、画像を見ながら病変を探すことが可能になった。「医師の熟練度にかかわらず、診断にばらつきが出にくくなった」という。

 他の病院で新たな病変が見つかり、乳房の全摘手術を勧められた50代の女性は、愛知医科大病院で先進的な検査を受けられると知り診断を受けた結果、病変が良性と診断された。部分切除で済み、心身ともに負担を少なくできた。

 この病院は10〜15年に、約400件の検査で使用。保険適用に向けて、他の病院と連携して臨床試験を続けている。中野部長は「この機器を使用すれば、治療の選択肢を広げることができる」と強調する。

 乳がん検診に使われるマンモグラフィー(乳房エックス線検査)の苦痛をなくしたのは、島津製作所(京都市)が開発した「エルマンモ」だ。

画像ベッド状の機器の穴に片方ずつ入れて、痛みなく乳房を検査するエルマンモ=大阪府豊中市のMIクリニックで

 マンモグラフィーは乳房を板で挟んでエックス線撮影するため、痛みが出て敬遠する女性がいる。エルマンモは、乳房専用の陽電子放射断層撮影装置(PET)で、うつぶせに寝てベッドの穴に乳房を片方ずつ入れるだけで検査できる。

 全身PETでは1センチ以下の初期のがんは見つけにくいが、エルマンモは穴の周りに精度の高い検出器を置くため、数ミリのがんを見つけることも可能。マンモグラフィーが不得手とする乳腺が高密度の人の乳がんを見つけるのにも有効という。保険適用には、▽乳がんと診断されたり再発が疑われたりする場合▽同じ日に全身PETの検査を受けること−の2点が条件だが、自費診療(15万円前後)で検診を受ける人もいる。

 昨春、国内で初めてエルマンモを導入した木沢記念病院(岐阜県美濃加茂市)では、利用者の9割が全身PETとの同日併用で保険適用を受けており、費用は3割負担の場合で計約4万円(全身PETを含む)。抗がん剤の効果や術後の病変の残存などを調べるのに役立ち、西堀弘記・放射線科部長は「女性に優しい方法で、精度良く小さながんを検出したいと導入した。検査が楽という声が多い」と話す。

 ただ、胸壁近くのがんは見つけにくいほか、一部の良性の病変も検出してしまうのが欠点。「機器によって長所と短所がある。うまく組み合わせることが大事です」と西堀部長は語る。

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