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多治見・空床活用の重症障害者 短期入所

(2016年12月19日) 【中日新聞】【朝刊】【岐阜】 この記事を印刷する

介護の家族に休息ひととき 病院、県、NPO法人 3者連携で運営安定

画像療育や利用者の食事に付きそう看護師ら=多治見市民病院で

 生活上で医療行為が必要な重症心身障害児者を預かる短期入所事業が、多治見市民病院の空床を利用して行われている。昨年3月に県のモデル事業となり、9月末までで延べ661人が利用した。病院と県、地元NPO法人が協力する三者連携の形を採用したことで、安定的な事業継続につながっている。(秦野ひなた)

 ■県モデル事業に

 ハロウィーンを控えた10月中旬、多治見市民病院内の「天使の居場所」と書いたボードが掲げられた部屋は、壁にカボチャやコウモリなどの形に切り抜かれた色紙が飾られ、華やいだ雰囲気。この日の利用は4人で、スタッフ5人が食事や排せつ、たんの吸引などの対応に当たった。

 同病院では、以前も重症心身障害児者の短期入所を不定期で受け入れていたが、看護師の不足などが理由で、地域のニーズに十分に応えることができずにいた。

 協力を申し出たのが、高齢者や障害者の共生型デイサービスを提供する市内のNPO法人「みんなの手」だ。看護師や保育士などの資格を持つ12人をスタッフとして集め、病院に非常勤雇用されている。利用者数に応じて必要な人数が常駐し、医療行為のほか、散歩に連れて行ったり、一緒に遊んだりする。

 県は2015年3月から同事業をモデル事業とした。利用のキャンセルなどの発生で人件費が上回り、事業が赤字となった場合には補填(ほてん)するほか、NPOへの委託料や備品購入費などを負担している。

 開所は火、木、土、日曜日と祝日の午前8時半〜午後5時。利用は登録制で、東濃、可児地域の乳幼児から40代までの25人が登録している。1回の利用料は約2万円で、障害の程度や所得によって国などが9割を補助する。

 ■母親ら感謝の声

 多治見市太平町の主婦原美奈さん(41)は、チューブで気道を確保していて、たんの吸引が必要な長女優華さん(17)を月7回程度預けている。「預け先がない時は、下の子の参観日に泣いている優華を置いて出掛け、帰宅した時にちゃんと生きているだろうか不安にかられたこともあった」と振り返る。「ここには親以上に愛情を注いでくれる人たちがいるから、後ろめたさを感じないで預けることができるんです」と感謝する。

 みんなの手の看護師の内田清美さん(52)は「利用者のご家族に『下の子の学校行事に初めて夫婦そろっていけました』と言われた時はうれしかった。一番ケアしてあげないといけないのは普段付きっきりで介護しているお母さん」と事業の必要性を強調する。

 ■課題は宿泊対応

 三者での連携について、市民病院の岡本博之院長(68)は「人材と空床がそろえば家族のサポートをすることができる。このシステムが他の病院や自治体の参考になれば」と期待する。

 一方で課題もある。厚生労働省が規定する短期入所は宿泊を含む事業を指すが、同病院の事業では夜勤を引き受ける人材がいないため、現状では対応できていない。原さんは「平日はいつも開いていて、さらに泊まることができたら理想的」と望む。

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