つなごう医療 中日メディカルサイト

染色体異常と歩み成人式

(2017年1月5日) 【中日新聞】【夕刊】【その他】 この記事を印刷する

瀬戸の女性 壇上で大役

画像成人式に向けて、特注の振り袖で衣装合わせをする池戸美優さん(左)と母智美さん=愛知県瀬戸市で

 染色体が欠損して円状になる、希少な染色体異常「21リングモノソミー」のある愛知県瀬戸市幡野町の池戸美優(みゆ)さん(20)が8日、成人式を迎える。母親智美さんと一緒に地元の式典に出席し、新成人の代表として、壇上で大役を務める。 (堀井聡子)

 「美優、きれいになって良かったねえ」

 昨年末、瀬戸市の美容室で衣装合わせをした際に、髪を結い上げた美優さんに智美さんが話し掛けた。美優さんは、黒地に赤いツバキがちりばめられた振り袖姿。声を発することはできないが、ぱちぱちと両手をたたいて応えた。

 美優さんは1996年の大みそか、1950グラムの低体重で生まれた。翌日に肺が破れ、病院の新生児集中治療室へ。医師に「今夜がヤマです」と告げられた。一命はとりとめたが1カ月後、世界でも当時、100例ほどしか報告がなかった21リングモノソミーと診断された。「将来、歩けるのか、話せるのかさえ分からない」と言われた。

 帰宅後に智美さんが「どうして罰が当たったんだろう」と漏らすと、夫の陽平さんに「そんなことを言ったら美優がかわいそうだ。きっと大きな使命を持って生まれてきたんだよ」と励まされた。

 美優さんは、てんかんや血小板減少症などで入退院を繰り返した。食事を取ったり、支えなしで歩いたりする自立行動は困難で、今の身長は125センチだ。

 「世の中は丸い物であふれているのに、どうして美優の染色体は、丸ではいけないのか。丸い物を見るのがつらい時期もあった」と智美さん。それでも周囲の支えで、次第に障害を受け入れられるようになった。現在は地元FM局のパーソナリティーを務め、障害児の親として各地で講演もしている。

 智美さんにとって、地域の成人式に出るのは「夢」だった。「美優は小学校から特別支援学校で、地元の子たちと交流がない。同年代の人たちに、地域の一員として美優という『同級生』がいると知ってほしかった」

 先月上旬、成人式の打ち合わせに出席したところ、女性の新成人代表として、母子2人で壇上で、記念品を受け取る役目を担うことになった。智美さんは「美優は意思表示ができないので成人式に出たいかどうかは分からないが、胸を張って節目の日を迎えたい」とほほえんだ。

 21リングモノソミー 一対になった2本の染色体の一部が欠損して、2本がくっつき、1つのリング(環)状になる染色体異常のこと。「モノソミー」は、通常は2本の染色体が、1本しかない状態を表す専門用語。23対(計46本)の染色体のうち、21番目の染色体で起こる。21番目の染色体が3本になる異常がダウン症で、ダウン症以外の染色体異常は極めて稀(まれ)とされる。

【関連記事】

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人