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減塩食をおいしく だしで味しっかり出す

(2017年1月17日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する
画像病院の減塩食を手にする浜田さん(左)と中桐さん=三重県松阪市の松阪市民病院で

 味付けにしょうゆやみそを使うことが多いため、塩分の取りすぎになりがちな日本食。いざ減塩の食事を実行してみると、味がうすくてまずいと感じる人も多い。塩分を減らしつつ、おいしく調理するコツを専門家に教わった。 (河野紀子)

 「減塩食は工夫次第でおいしくできます。食べる楽しみは日々の活力にもつながりますよ」

 おいしい減塩食を研究し提供している松阪市民病院(三重県松阪市)の管理栄養士、中桐梓さん(25)と、調理師の浜田久佳さん(37)は声を合わせる。

 まず大切なのは、料理の基本となるだし。同病院では、かつお節やいわし節などを合わせたタイプのだしパックを使う。素材のうまみが濃縮し、かつお節や昆布からだしを取るのに比べて手軽でコストも安い。みそ汁にもおひたしにも合う。

 みそ汁の場合、一人分のみその量を3割減らしても、だしが効いているのでおいしく仕上がる。おひたしには、だし汁にしょうゆとみりんを加えた八方だしを使用。さらに八方だしにゆでた野菜など材料を2回浸すという一手間をかけると、野菜の水っぽさが解消でき、少しの調味料でも味が染みるようになる。

 「味付けは香草(こうそう)やレモンでアクセントを」と中桐さん。例えばローズマリーなどを漬け込んだ香草オイルは、魚や肉を焼くときに使える。昆布入りの食塩水に肉などを漬け込む塩水調理という方法もあり、少ない塩分でしっかりと下味が付く。

 骨の手術のため、同病院に昨年末まで1カ月間入院した女性(54)は「だしや素材の味がしっかりしておいしく、三食とも減塩食でも物足りなさは感じなかった。自宅でもまねしたい」と満足げに話す。高めだった血圧が、退院直前には少し下がったという。

 中桐さんは「減塩食に慣れてくると、薄味でも十分においしく感じるようになる。もし塩分を取りすぎてしまったら、次の食事で減らすといい。神経質になりすぎず、長く続けることが大切」と話している。

 国立循環器病研究センターによると、国内の1日平均の塩分摂取量は男性11グラム、女性9・2グラム。厚生労働省が推奨している摂取量(男性8グラム未満、女性は7グラム未満)を大幅に上回る。国際的に見ても塩分過多の状態が続いている。

 塩分の取りすぎは血圧を上昇させ、脳卒中や心臓病のリスクを高める。日本人は成人の3人に1人、高齢者の3人に2人が高血圧(最高140以上、最低90以上)とされる。

 高血圧の患者は、塩分摂取量を1日に6グラム未満に抑える必要がある。だが、それまで味の濃い食事をしてきた人には、かなりハードルが高い。外食では、一食で6グラムに達してしまうすき焼き定食やラーメン(汁を含む)のようなメニューもある。

【減塩の工夫】

*合わせだし

 さば節、いわし節、かつお節、むろ節、そうだかつお節、かつお・まぐろエキス、酵母エキスなどが入った合わせタイプのだしパックで抽出しただし汁を使用。みそ汁やお吸い物などに合う。

*香草オイル

 ローリエやローズマリーなどの香草とにんにく、タカノツメをオリーブオイル漬けにする。魚や肉をマリネにして焼く。 

*塩 豚

 昆布を漬けた食塩水50ミリリットル(塩0.65g、濃度1.3%)に70グラムの豚ロース肉を漬ける。3時間ほど冷蔵庫でチルド保存した後、水気を拭き取って焼く。仕上げにレモンをかけると、1人前の塩豚のできあがり。

*低塩トマトソース

 セロリ、玉ネギ、ニンジンをオリーブオイルでじっくり炒める。ホールトマト、塩分不使用のトマトジュース、赤ワインを加えて酸味が飛ぶまで煮詰める。肉などのソースとして使う。

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