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弱視の孫 将来気掛かり 原因に応じ早め治療 周りの理解促して

(2017年1月20日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
画像弱視の治療で使うアイパッチを手に持つからき眼科クリニックの唐木剛さん。「弱視は早期の治療が大切」と話す

 昨年12月9日の本欄に掲載した「弱視の孫 将来気掛かり」という愛知県の女性(63)の悩みに対し、子の弱視を治療した経験のある保護者らから多くの反響が寄せられた。「治療を理解し、頑張っているお孫さんを温かく見守ってあげて」とエールを送る。(寺本康弘)

 弱視の治療はどんな点に注意したらよいのか。子どもの目の病気に詳しい「からき眼科クリニック」(愛知県春日井市)の院長、唐木剛さん(66)は「早期に発見して治療することが大切」と語る。

 −弱視とはどんな状態ですか。

 弱視という言葉は一般に、視力が低い状態について幅広く使われていますが、眼科医療の分野では、視力が未発達のことを指します。

 −子どもの視力はどのように発達しますか。

 成長とともに発達します。出生直後は明るさしか分からないのが、3カ月ぐらいで動くものを追うようになり、3歳で視力が1・0程度になります=表参照。

 −弱視の原因は。

 原因の多くは斜視や強い遠視です。人がものを見るときは、目だけを使っているわけではありません。目から入ってきたデータが視神経を通じて脳に伝わり、脳が処理することで「見える」ことになります。斜視の子は片目でものを見ているために、強い遠視の子はピントのずれた像を見ているために、脳や視神経が正しく発達しません。

 −どんな治療法がありますか。

 斜視の場合、未発達の方の目を訓練するため、正常な目をアイパッチ(治療用の薄いシート)で一定時間隠したり、目の筋肉を一時的にまひさせる点眼液を使ったりします。両目の視力が同じ程度になった後で、斜視を手術で治します。

 強い遠視の場合は、遠視用眼鏡で脳の発達を促します。さらに左右の目の視力に違いがある場合は、アイパッチや点眼液を併用します。

 −治療はいつごろすればいいですか。

 3歳ごろまでに治療を始めるのが効果的です。視力は6〜8歳で成長が止まります。治療の開始が早期であればあるほど、訓練期間が短くて済みます。

 −子どもの目の異常に気付くのはどんな時ですか。

 斜視は、見た目で分かるので保護者が気付きやすいですが、遠視は分かりにくい。3歳児健診の視力検査や、保育園や幼稚園での検査で分かることが多いです。必ず受けてください。

 目以外に何らかの障害があって視力検査がうまくできず、弱視に気付かずに成長してしまう人もいますが、視力はその後の療育にも大切です。できるだけ早い時期に専門の眼科で検査をしてください。

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 長野県飯田市の女性(54)は、息子が3歳児健診のときに弱視と診断された。小学校入学までほぼ毎月、検査と治療を続けた。眼鏡は欠かせなかったが小中学校では野球部に所属して投手と捕手、高校ではバレーボール部員として活躍した。

 「友達からメガネ君と呼ばれたけど、本人はそう気にした様子もなかった」という。親子で頑張って治療している相談者に対して「かわいそうなどと言わず、お孫さんと両親を励まして支えてあげて」と呼び掛ける。

 周りの大人や子どもの理解を得るのが大切と訴えるのは岐阜県中津川市の女性(43)。女性の息子は幼稚園で、目の上に張っているアイパッチを外すのを忘れていると、友達が教えてくれるという。「幼稚園に事前に話し、他の子どもたちに説明してもらえれば、子どもたちもきちんと納得し、怖がられることはない」と話す。

 愛知県東浦町の女性(42)は、娘が保育園に通っていたころ、アイパッチにフェルトペンで動物やアニメのキャラクターを描き、「周りの園児が違和感を持たないで過ごしてくれた」と話す。

 友達から「どうしてシートを張るの?」と聞かれても、「見えるようになるため」と説明すると納得してくれた。女性は「友達も最初はびっくりするかもしれないが、すぐに慣れます」と言う。

 三重県四日市市の女性(40)は、弱視用眼鏡をかけていた娘と買い物に行くと年配の女性らから「かわいそう」とよく言われた。そのたびに「よく見えるようになるので、この子は気に入っているんですよ」と説明したという。「小さい子は周りの大人たちや友達の反応が大切。安心して治療を続けていけるように見守ってあげて」と話す。

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