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重症障害児の避難支援 済生会明和病院 小児科医 岩本彰太郎さん

医人伝

(2017年1月24日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

済生会明和病院(三重県明和町) 小児科医 岩本彰太郎さん(49)

画像重症心身障害児の災害時支援ネットワークをつくり、支援策を検討する岩本彰太郎さん

 人工呼吸器が必要などの重症心身障害児は、大地震などの災害時にどう避難したらよいか−。小児科医として長年、この課題への対応を探ってきた。発起人となり、三重県松阪市以南の6市10町と地域の医療、保健、教育関係者ら計140人が連携する「三重県南部医療的ケア地域支援連携会議(みえる輪ネット)」を昨年10月に設立した。

 昨年4月の熊本地震後、自宅で重症障害児を育てる松阪市の母親から、災害時の避難について相談された。三重県南部も南海トラフ地震などへの不安が強い。以前から障害児を支えるには「関係機関の連携がもっと必要」と考えていたが、この母親の声を聞いて「災害時対応のためにも連携を深めなくては」と、思いを強くした。

 重症障害児の避難には医療機器を使える支援者が必要。こう訴えたが、市町は高齢者への対応で手いっぱい。担当者からは「支援の必要な人が大勢いる中で、重症障害児だけを特別扱いできない」とも言われた。

 流れが変わったのは、昨年6月公布の児童福祉法改正に伴う国から自治体への通知。国は重症障害児を関係施設などと連携して支援するよう促した。これを機に再度、市町にネットの設立や参加を働きかけ、発足にこぎ着けた。

 数カ月ごとに会合をもち、在宅の子ども一人一人に合った避難経路や手段を自治体や家族と一緒に考えるのが主な活動だ。しかし、在宅の子どもがどこにいるのか把握しきれていないのが現状。個人情報に配慮しつつ、市町や病院などで持ち寄ったりして情報を集積することから始めなければならない。

 また、人工呼吸器に対応でき長時間使える自家発電機などの設備と医師がいる入所施設は、県南部には済生会明和病院の重症心身障害児者施設「なでしこ」しかない。津波や建物の倒壊で、同施設まで行き着けない場合に備え、各地の避難所に自家発電機などをどうやって備えるかも考えていく必要がある。

 名古屋市千種区出身。三重大を卒業後、三重大病院などに勤務し「家に帰りたい」と言いながら亡くなる子どもを診てきた。「障害があっても自宅で生活できるように」と、2000年のなでしこ開設に携わる一方、在宅生活も支援してきた。願うのは「防災対策を整え、親子が安心して地域で暮らせるようにすること」だ。(沢田石昌義)

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