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発達障害 整わぬ支援態勢 苦慮する学校 親は不信感

(2017年1月27日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
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 名古屋市内の民家で昨年末、子どもに発達障害の可能性があることに悩んでいたとみられる母と子2人の遺体が見つかった。警察は無理心中とみて捜査しているが、事件は発達障害の可能性がある子を持つ親に衝撃を与えた。学校の受け入れ態勢が十分ではないため、「学校は相談に乗ってくれない」と思い込む親が少なくないためだ。(寺本康弘)

 愛知県内に住む女性は4年前、小学校に入った長男が「発達障害の一つの学習障害(LD)なのでは」と感じた。宿題に出された国語の音読で「とけい」を「けいと」と読んだり、同じ行を繰り返したりしたからだ。インターネットのサイトではLDの特徴に当てはまった。

 2年生の時に担任の教諭に相談したら、「他にもそういう子はいます。様子を見ましょう」と取り合ってもらえなかった。専門機関で正式にLDと判明し、学校はようやく、テスト時間の延長などの支援をしてくれるようになった。女性は「学校はこういう所なんだ」と感じたという。

 障害児のデイサービスを開設しているNPO法人「じゃんぐるじむ」(愛知県日進市)理事長の竹内由美子さん(50)は「以前より学校の理解は進んできているが、対応に不満を持つ親はいる」と話す。個別支援を求めたら、「特別扱いはできないと言われた」などの相談が寄せられている。

 文部科学省の2012年の調査によると、発達障害の可能性のある子どもは、小中学校の通常学級で6・5%いると推定される。40人学級では3人弱になる。

 05年に発達障害者支援法が施行された前後から、各教育委員会はコミュニケーションや学習に困難を抱える発達障害の子を支援するため、▽子どもをサポートする特別支援教育支援員を配置▽苦手な分野を別学級で学ぶ通級指導−などの対応を取ってきた。

 しかし、発達障害の可能性がある子のうち、学校で何らかの支援を受けているのは55%のみで、39%は全く支援を受けていない。

 ある市教委の担当者によると、授業中に立ち歩いたり教室を勝手に出て行ってしまったりする子への対応に手がかかり、教員は手いっぱいの状況だという。「親から個別指導を求められても、椅子に座っていられる子に十分に対応するのは難しい」と明かす。

真剣さ伝えるため家族複数で学校へ

 子どもの発達が気になったとき、学校にはどう持ちかけたら良いのだろう。

 元小学校教員で、育児雑誌編集者の岡崎勝さん(64)=愛知県日進市=は「親から相談を受けたら学校がきちんと対応することが大前提」とした上で、「親が気持ちを伝えるためには、一人で行くより夫婦や、可能であれば祖父母も一緒に行った方がいい」とアドバイスする。家族そろった方が、教員に真剣さが伝わりやすいからだ。

 具体的に求める支援を伝えるのも一つの手。箇条書きにしたり、文章にしたりして渡すと、教員も意向を理解しやすい。担任と相性が良くなければ、教頭ら管理職に相談してもよい。

 支援が始まった後は、子どもがどう変わってきたのかを学校側に報告するのを忘れずに。「こんなことを相談しては良くないのではと勝手に考えず、早めに相談しておくと、教師との風通しは良くなりやすい」と指摘する。

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