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半田病院 移転新築の建設地 「災害」「利便性」どちら優先?

(2017年2月6日) 【中日新聞】【朝刊】【愛知】 この記事を印刷する

 半田市が移転新築を計画する市立半田病院(同市東洋町)の建設地が決まらない。市は昨年6月に市職員駐車場に建てると発表したが、震災時に不安があるとして、市民団体は半田赤レンガ建物(同市榎下町)東側の市有地を提案。市は12月に入り、両案を比較検証すると表明し、検討会議で課題の洗い直しを始めた。市は3月末までに結論を出す方針だが、災害時の機能か、平時の利便性かで揺れている。(半田支局・三宅千智)

■津波への不安

地図

 職員駐車場は現病院と市道を挟んだ北側の2万2千平方メートルの市有地。現病院の跡地1万9千平方メートルを活用すれば1000台分の駐車場も確保できる。専門家による委員会が市内7カ所の候補地から絞り込み、2016年4月に答申した。建設費は概算で240億円を見込む。

 だが、職員駐車場は市の津波・高潮避難計画で、津波警報発表時の避難対象地域にある。地盤が弱く、大地震では液状化の不安があるほか、市のハザードマップでは津波による一帯の浸水は最大1メートルになるとされている。

 市は、周辺の県道は厚さ58センチのアスファルトで整備されているため、ほとんど液状化の心配はないと主張。浸水対策として敷地をかさ上げするほか、緊急車両用に迂回路も整える計画だ。

 だが、不安の声は消えない。「津波警報が出ても西側の高台から津波に向かって救急搬送し、職員も集合するんですか」。医師で「半田病院のあり方を再考する会」会長の浅野麻里奈さん(37)は問い掛ける。

■赤レンガ案も課題

建設地の候補に上がる住宅展示場。右端奥に半田赤レンガ建物が見える=半田市榎下町で建設地の候補に上がる住宅展示場。右端奥に半田赤レンガ建物が見える=半田市榎下町で

 浅野さんは医師仲間や半田市内の同年代の建築士らと昨年11月に再考する会を結成。国の登録有形文化財「半田赤レンガ建物」東側の市有地での建設を提案している。

 市有地は、住宅展示場としてナゴヤハウジングセンター(名古屋市)に21年3月まで年間5210万円で貸し出されている。展示場1万8千平方メートルに、赤レンガ建物の駐車場や広場を合わせると2万7千平方メートル余で建設は可能。内陸部で地盤は比較的固いとされ、再考する会は「浸水の心配がなく災害拠点病院としての機能が果たせる」とする。

 ただ、赤レンガ案も問題はある。JRと名鉄の2本の踏切に挟まれ、日中は道路は慢性的に混雑し、周辺は閑静な住宅街という立地。利便性に欠けるほか、住宅展示場の賃貸期間に建てるとなれば違約金や損害賠償も出てくる。

■市民も割れる

市が建設地として発表した市職員駐車場=半田市東洋町で市が建設地として発表した市職員駐車場=半田市東洋町で

 1月18日の検討会議では委員の学識者や警察、病院関係者らが議論。「災害に弱い職員駐車場案、アクセスが悪い赤レンガ案ともやめて、選び直したらどうか」との意見も出た。災害拠点か利便性か、市民の間でも意見は割れる。15年に行った市民アンケートで、新病院の立地に関する問いに「災害時も機能する」との回答は29.5%、「公共交通機関のアクセスがよい」は27.1%だった。

 半田病院は、知多半島で唯一の救命救急センターのある地域中核災害拠点病院。1982年築の8階建て本館は配管設備の老朽化が深刻で、市は「建て替えは急務」とする。

 第2回の検討会議は16日。残された時間は少ない。

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