つなごう医療 中日メディカルサイト

治療継続 しっかりサポート

(2017年2月7日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

骨粗しょう症に認定マネージャー

画像かかりつけ医院との情報共有のためのノートを手にする鈴木雪絵さん。患者の治療履歴や検査結果などを書き込める=愛知県碧南市の小林記念病院で

 骨がもろくなる骨粗しょう症は、重症になると長期の治療が必要になるが、効果を実感できずに途中でやめてしまう人が少なくない。このため日本骨粗鬆症(こつそしょうしょう)学会は、専門知識を持つ看護師らを「骨粗鬆症マネージャー」に認定し、治療継続の必要性を患者に訴えている。(河野紀子)

 「骨粗しょう症になると、高齢者は骨折を機に寝たきりになってしまうケースもある。安易に考えず、治療を続けてほしい」。小林記念病院(愛知県碧南市)の看護師、鈴木雪絵さん(41)は話す。

 鈴木さんは、2014年にマネジャーの認定試験に合格。翌年から入院中の患者と家族らを対象に骨粗しょう症教室を毎月開き、検査で骨の強度が下がっている場合に治療を促している。

 鈴木さんによると、毎日注射するのが必要だった女性患者が、1年後から通院しなくなった。「2年使い続けないといけないのに…。患者は高齢者が多いので、治療の大切さを実感してもらい、その人に合った治療法を考えていく必要があります」と振り返る。

 退院後も治療を続けやすいように、鈴木さんや骨粗しょう症に詳しい整形外科医が、患者のかかりつけ医を訪問。これまでの病状の経過を説明して治療を引き継ぐ。半年おきに、小林記念病院にも通院してもらい、骨密度を計測したり、採血をしたりするなどしてサポートしている。

 かかりつけ医との情報共有を円滑にするため、治療履歴を書き込むノートを作成。これまでの2年間で、72人の患者を29医院に引き継いだ。ほとんどの患者が治療を続ける効果を上げている。

 そもそもなぜ、治療が長続きしない人が少なくないのか。藤田保健衛生大医学部(愛知県豊明市)の鈴木敦詞(あつし)教授(内分泌・代謝内科学)は「骨が弱っている自覚症状がなく、骨折して初めて病気に気付くことが多い。でも骨折が治ったら、骨粗しょう症の治療もやめてしまう」と指摘する。

 鈴木教授によると、脚の付け根の大腿(だいたい)骨に近い部位を骨折をした患者のうち、1年後も骨粗しょう症の治療を続けているのは19%。患者が治療効果を実感しにくいことが背景にある。骨折の治療をする急性期病院とリハビリを行う回復期病院、日ごろのかかりつけ医がそれぞれ異なり、連携不足が一因といわれてきた。

 14〜15年の2年間で1100人以上のマネジャーが誕生した。鈴木教授は「高齢化により、骨粗しょう症の患者はさらに増えていく。医療者が連携して患者を治療に結び付ける取り組みは、より重要になる」と話す。

重症患者は投薬必要

 骨粗しょう症は、加齢などにより骨がもろくなり、骨折しやすくなる疾患。患者は国内で1300万人と推計され、そのうち8割を女性が占める。女性は閉経後に女性ホルモンが減る影響で、骨の強度が一気に低下するのが原因だ。

 骨折しやすいのは、背骨や脚の付け根、手首など。カルシウムやビタミンDを多く含む食事と適度な運動のほか、重症の場合は投薬治療が必要になる。

 学会によると、推定患者のうち実際に治療しているのは2割ほど。病気の早期発見につながる骨粗しょう症検診は、受診率が4%台と低迷している。

 代表的な治療薬は、古くなった骨を壊す「破骨細胞」の活動を抑えるビスホスホネート(BP)系薬剤。かつては毎日服用が必要だったが、週1回や月1回の錠剤、さらには年1回の点滴ですむようになるなど、利便性は増している。

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人