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発達障害児向けに学習塾

(2017年2月17日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

「1対1」で指導 学校の支援態勢に不安 

画像講師と子ども1対1で教えると落ち着いて勉強できるという=名古屋市千種区の「ステラ個別支援塾星ケ丘校」で

 発達障害児を対象にした学習塾が増えている。講師が生徒に1対1で教えるなど、発達に違いのある子どもの特性に合わせて工夫を凝らす。学校での支援が不十分なことに不安を持つ保護者が多いことが、塾増加の背景にある。 (寺本康弘)

 名古屋市千種区にあるステラ個別支援塾星ケ丘校。「うーん。分かんない」。2坪ほどの小部屋で、小学校1年生の女児が鉛筆を額にあてながら考え込んだ。平仮名の「はひふへほ」の練習中だが、形が難しい「ふ」の字が書けない。

 向かい合って座った講師の女性が「じゃあ、ここに3つ書いてね」と言い、蛍光ペンで白いプリントに3つのマス目を作った。女児はそのマス目に、お手本を見ながら書いていく。講師は「わくを書いている間に字の形をよく見させ、ゆっくり集中して書くようにしている」と話す。

 女児は小学校に入ってすぐ、授業についていけなくなった。学校では昨年5月から週1回、1時間だけ別の教室で平仮名を学ぶ通級指導を受けているが、母親(41)は「それだけでは足りない」と感じて、入塾を決めた。

 昨夏から隔週1回のペースで通う。母親は「私が家で教えようとすると、泣いたり甘えたりして大変。ここでは好きな塗り絵の時間をつくるなどして、うまく集中するように指導してくれる」と喜ぶ。

 塾を運営するのは株式会社GUTS(ガッツ、同市中区)。2013年に初めて発達障害児向けの塾を開設し、今は名古屋市内と愛知県豊田市に計4校を展開している。小中学生を中心に各校50〜80人の生徒がいる。

 同社は、保護者から子どもの性格や成績、興味関心などを聞き取った上、運動や言語の発達段階をみるため、医療機関などで使われている発達検査を希望者に実施。子どもの特性をつかんで支援計画を立てて、授業をしているという。責任者の鶴原悟さん(36)は「学校と違って1人1人に向き合って時間をかけて教えられるのが強み」と話す。

 関東と関西で同様の塾を運営する業界大手「LITALICO(りたりこ)」(東京都目黒区)によると、発達障害児向けの学習支援の塾は全国的に増加傾向。同社は11年から発達障害児向けの塾事業を始め、現在74教室に8千人の生徒が通う。現在は定員いっぱいの状況で、入塾待機が5千人いるという。

「つまずきの原因知り 特性に合った指導を」

 発達障害児向けの塾が増えていることについて、奈良教育大の大西貴子特任准教授(発達障害心理学)は「本来は学校でしっかり支援態勢をつくることが望ましいが、現状では難しい。保護者が塾に支援を求めるのは理解できる」と話す。

 塾であっても、子どもの発達に詳しい臨床心理士らが発達検査を通して、子どものつまずきの原因をまずはっきりさせることが必要と指摘。例えば、勉強に集中できない理由が読み書きの障害のためなのか、周囲に気になるものがあるからなのかを見分けておかないと、丁寧に教えても効果は上がらないためだ。

 しかし「保護者の話から、支援態勢が十分でない塾もあると感じる」という。

 「塾の指導者は、つまずきの原因に基づいて、子どもに合った方法を柔軟に工夫をしながら指導してほしい」と要望する。

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