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妊婦・胎児に影響「4感染症」 妊娠前に免疫確認を

(2017年2月21日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

 今夏、20代の娘が結婚する予定の愛知県の女性から、「妊娠に備えて、予防接種をどうすればいいのか」という投稿が本紙に寄せられた。妊娠中の女性は、風疹など4つの感染症が重症化したり、胎児に影響が出たりする場合がある。これから妊娠する可能性がある場合は、一歩先の対策が必要だ。 (河野紀子)

検査・予防接種夫婦で

 「妊娠を希望する夫婦は、まず医療機関で抗体検査をして、自分に免疫があるかを確認してほしい」。予防接種が専門で、名鉄病院(名古屋市西区)予防接種センター顧問の宮津光伸医師は話す。

 宮津医師によると、妊娠中の女性が注意すべきなのは風疹、水ぼうそう(水痘)、はしか、おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の4疾患。中でも深刻な事態になりかねないのは風疹だ。

画像女性に予防接種をする宮津光伸医師(左)=名古屋市西区の名鉄病院予防接種センターで

 妊娠初期にかかると、胎児もウイルスに感染。耳や目、心臓に障害を及ぼす先天性風疹症候群(CRS)になる可能性がある。20〜40代の女性の約20%は風疹の抗体が十分ではないとされる。定期接種の制度が何度も変わって、接種を受けていない人が多いためだ。「妊娠中は予防接種を受けられない。その前に確認を」。宮津医師は呼び掛ける。

 主に幼児が発症する水ぼうそうは、成人の95%が抗体を持つものの、出産直前にかかると、新生児が重症の水ぼうそうを発症する。はしかとおたふくかぜは、胎児への影響は不明だが、妊娠初期では流産の危険がある。

 「過去に感染して抗体があると思っている人も、安心はできません」と宮津医師。風疹とおたふくかぜは他の病気と間違われやすく、検査して初めて抗体がないことが分かるケースもあるという。

 同センターは、これから妊娠を希望する夫婦に4疾患の抗体検査の実施を勧める。血液検査をすれば1週間ほどで結果が分かり、抗体がない感染症のワクチンだけを打てば接種費用も最小限に抑えられる。ワクチン接種の6週間後に抗体検査をして、抗体ができたかを確認する。

 センターは、4疾患に加えて、100日ぜきのワクチン接種も同時に勧める。大人の多くが抗体を持たず、乳幼児がかかると重症化する恐れがあるからだ。さらに、パートナーの男性の抗体が低い場合は感染源となる可能性があるため、カップルでの抗体検査と接種がいいという。

 愛知県一宮市の古河聡(あきら)さん(30)、枝里さん(25)夫婦は1月、センターで抗体検査を受けた結果、聡さんがはしかとおたふくかぜの抗体が低いことが判明し、ワクチンを打った。

 聡さんは「風疹で耳が聞こえなくなった赤ちゃんのニュースを見た。いつか子どもを授かるときのために、できることはやっておきたい」。枝里さんも「自分は抗体があると分かって一安心」と話した。

混合ワクチン約1万円

 4つの感染症の予防接種は、妊娠を希望する夫婦が受ける場合は任意接種となり費用は自己負担となる。一般的な費用は、風疹とはしかの混合ワクチンで1万円程度。抗体検査は医療機関や検査の種類によるが、4種類で5千〜7千円ほどで受けることができる。妊娠を希望する夫婦や妊婦の夫などを対象に、これらの予防接種の費用を助成している自治体もある。

 予防接種に関する相談は、厚生労働省の感染症・予防接種相談窓口(平日午前9時〜午後5時)=電0422(70)1485=へ。

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