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なぜ投与 答えなき3年 東京女子医大病院 禁忌鎮静剤で死亡

(2017年2月22日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
画像東京女子医大病院で手術を受け、亡くなった男児=2013年12月(遺族提供)

 東京女子医大病院(東京都新宿区)で2014年、首の良性腫瘍の手術を受けた男児=当時(2つ)=が術後、鎮静剤「プロポフォール」を大量に投与され死亡した事故は21日で3年がたった。「なぜこんなことになったのか。どうすれば良かったのか。ずっと苦しみから抜け出せない」。最愛の息子を失った40代の父親の悲しみは深く、癒えることはない。

 「もし生きていたら、春から小学生。一緒にランドセルを選んでいたのかな」。今月10日、埼玉県内の自宅で取材に応じた父親は小さくつぶやいた。仏壇には、ブランコに乗って笑顔を浮かべる息子の写真が飾られていた。

 仕事から帰った後、2人で一緒に風呂に入るのが日課だった。湯船につかり、成長を見守るのを何よりも楽しみにしていた。「あんなに幸せをかみしめていた日々はなかった」。3年たった今も思い出すと目が潤み、風呂場にあるおもちゃはそのままにしてある。

 「7分の簡単な手術だったのに…」。病院についてもっと調べていれば、死なせることはなかったのではないかと、後悔と自責の念ばかりが頭に浮かぶ。投与されたプロポフォールは、集中治療室(ICU)で人工呼吸中の子どもに使うのが禁忌とされていた。そもそも薬を使用することや、ICUで人工呼吸器を取り付けることを知ったのは手術後だった。

 気持ちの整理は今もつかず「笑ったり、心がわくわくしたりすることがなくなった。気が付けば子どものこと、亡くなったあの日のことを考えてしまう」。

 病院側には何度も説明を求めたが、納得のいく答えや謝罪はなかったという。なぜプロポフォールが大量投与されたのか真相を知りたくて、昨年12月以降、投与に関わった耳鼻咽喉科や麻酔科の医師、看護師に対する民事訴訟に踏み切った。

 「病院には事故に真摯(しんし)に向き合ってほしかった。子どもはもう戻ってこないが、親として真実が知りたい」。父親は声を絞り出すように語った。

 東京女子医大病院の鎮静剤問題 2014年2月、首の良性腫瘍の手術を受けた2歳男児が3日後に死亡。病院が依頼した第三者による調査委員会は、集中治療室で人工呼吸中の小児への使用が禁忌とされる鎮静剤プロポフォールを長時間、大量に投与したことが直接の死因との報告書をまとめた。両親は医師らを提訴、警視庁も業務上過失致死容疑で捜査している。病院側は14年12月、08〜13年に同様の状況下で同鎮静剤を使用した子ども11人が死亡し、うち5人は投与の影響を否定できないとする検証結果も公表。厚生労働省は15年6月、高度医療を提供する特定機能病院の承認を取り消した。

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