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「食べる幸せ」を支える 金沢在宅NST経口摂取相談会 綿谷修一さん

医人伝

(2017年3月7日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

金沢在宅NST経口摂取相談会 事務局長(歯科医) 綿谷修一さん(69)

画像異業種と連携して患者を支えてきた歯科医師の綿谷修一さん

 「食べ物がのみ込みづらい」「入れ歯が合わない」と悩む高齢者らを訪ね、体の状態などを調べて摂食を指導する「金沢在宅NST(栄養サポートチーム)経口摂取相談会」の事務局長を務める。11年の活動で思い出深いのは「口から食べ、模型飛行機を飛ばしたい」と願った寝たきりの80代男性。男性宅に月4回通い、口腔(こうくう)ケアを続けた。理学療法士らによるリハビリの効果もあり、1年半後、男性はゼリーを食べ、車いすで外出できるようになった。

 石川県輪島市門前町に生まれ、父の代まで船員だった。器用な手先を生かそうと歯科医師を志して新潟大で学び、1979年に金沢市で開業。当時は珍しかった訪問診療を始めた。寝たきりの高齢者や末期のがん患者、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者。「忘れられている患者さんが大勢いた」。最期に向き合い、新しい入れ歯をひつぎに入れてもらったことも。

 開業して10年、入れ歯が合っていても食事ができない高齢者が多いことに気付いた。原因はかんだりのみ込んだりする摂食・嚥下(えんげ)機能の低下。唾液や胃液と一緒に細菌が誤って肺に流れ込み、誤嚥(ごえん)性肺炎にかかりやすくなる。リハビリテーション医学の専門家から学んだ。「食べる幸せ」を願い、相談会を始めるきっかけになった。機能には全身の状態が関わるため、医師や管理栄養士、言語聴覚士ら12の職種が連携し、食べることができるのか、どんな食事が適しているかを判断している。

 相談会で培った他職種との連携が新たな活動に役立った。訪問診療では治療よりも患者の悩みを聞く時間が長いことも。中でも、がん患者は相談先が限られ「放っておかれている」と感じた。がん患者や家族が気軽に訪れて安らげる場、英国発祥のマギーズセンターを知り、金沢市にもつくろうと、金沢赤十字病院の西村元一副院長をはじめ、建築家ら他職種の仲間と「がんとむきあう会」を2013年に結成。16年末、がん患者らの常設拠点「元ちゃんハウス」が生まれた。できるだけ顔を出し、患者の話を聞く。魚釣りや読書、ギターと趣味も多く、碁は4段の腕前。「訪れた人と碁を打ちたいね」とほほ笑む。

 患者を支えるには顔の見える連携が大切と実感。「若い歯科医師はもっと外に出て、通院できない患者の診療や他職種との活動に携わってほしい」と願う。 (押川恵理子)

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