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劇症肝炎の治療に有効なタンパク質 名大グループ発見

(2017年3月9日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

 発症者の半数以上が死亡する劇症肝炎の治療に効果を発揮する2つのタンパク質を、名古屋大大学院医学系研究科の石上雅敏講師や、大学院生の伊藤隆徳さんらのグループが特定した。新たな治療薬の開発につながる可能性がある。英科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」の電子版に8日、掲載された。

 劇症肝炎は、肝炎ウイルスや薬物などが原因となり、国内では年間約400人が発症する。現在は肝移植しか有効な治療法がないが、ドナー(臓器提供者)が不足しており、他の治療法の開発が急がれている。

 石上講師らのグループは、炎症を抑えるなどの働きを持ち、肝炎の症状緩和にも一定の効果がある乳歯の歯髄幹細胞に着目。この幹細胞を培養した上澄み液を作製し、劇症肝炎を発症させたラットに条件を変えて投与した。

 その結果、上澄み液に含まれる「MCP−1」と「sSiglec−9」と呼ばれる2つのタンパク質を取り除くと、治療効果が出ないことが分かった。他の成分を除外しても2つのタンパク質を含んでいた場合、症状が大きく改善し、4日目までの生存率が30%から90%まで上がったという。肝細胞の死滅を抑え、損傷した肝臓の再生につながったとみられる。

 石上講師は「2つのタンパク質はともに人工的に合成でき(将来的な)臨床への応用が期待できる」と話す。

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