つなごう医療 中日メディカルサイト

C型肝炎 7000人未救済

(2017年3月14日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

薬害訴訟 来年1月提訴期限

 手術で止血用の血液製剤「フィブリノゲン」などを投与され、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染したと推定される全国の約1万人のうち、国による救済措置を受けていない人が約7千人に上ることが、国や製薬会社に損害賠償を求めている薬害訴訟の名古屋弁護団などの調べで分かった。提訴して感染が証明されれば、1200万〜4千万円の給付金が支払われるが、これまでに原告となったのは3千人余り。大勢が救済されないまま、来年1月15日の提訴期限が迫っている。

 感染している可能性があるのは、ウイルスで汚染されたフィブリノゲンが使われた1964〜94年の間に、事故などで手術を受けた人や出産した人。国は防止対策が不十分だったと認め、2008年に施行した特別措置法で給付金の支払いを始めた。給付金の請求期限は当初5年間だったが、5年延長され、来年が期限となる。

 給付を受けるには、国と製薬会社を提訴して血液製剤による感染を立証する必要があるが、今年2月末までに提訴したのは名古屋や東京、大阪など5原告団を中心に計3140人にとどまる。

 弁護団によると、C型肝炎は潜伏期間が30年以上になることもあり、症状が出ておらずに感染に気付かない人が多い。健康診断の血液検査で感染者と分かっても、医師法で5年の保存義務のある診療カルテが既に破棄されていたり、病院に保存されていたとしても捜す協力が得られなかったりしているという。

 C型肝炎は、放置すれば肝硬変や肝臓がんを起こす恐れがあり、未発症でも継続した治療が必要となる。

 弁護団の堀康司弁護士は「感染の恐れがある人はまず検査してほしい。カルテが残っていなくても、何らかの手段で投与の事実が証明できる場合があり、あきらめずに相談して」と話している。問い合わせは名古屋弁護団(火曜、木曜日の午前10時〜午後1時)=電052(950)3314=へ。(室木泰彦)

「医療機関 協力を」 カルテ存在 給付金受けた男性

 「感染者は何の落ち度もないのに、不安におびえながら病気と闘っていかなければならない。国はもちろん、結果的に患者を生み出すことになった医療機関も協力してほしい」

 感染者の一人で、手術を受けた病院にカルテが残っていて給付金を受けられた宮井留志(るうしい)さん(52)=愛知県半田市=は話す。

 名古屋弁護団は、問題の血液製剤を使用していた病院に対し、感染の可能性がある患者を調べて連絡するよう要請しているが、ごく一部の病院しか応じていないのが実情だ。

 名古屋大病院(名古屋市)は自主的に調査。病院から連絡を受けた感染者19人が原告団に加わり、救済された。しかし東海地方にある別の大学病院は原則、患者から問い合わせがあった場合しか対応していない。

 保存期間の5年を過ぎたカルテも県外施設に保管しているが、記録は電子化されておらず、膨大な資料から必要なカルテを見つけ出すには職員を長期出張させる必要があるためだ。担当者は「負担が大きすぎる」と打ち明ける。

 来年1月の提訴期限までは、準備時間を考えるとぎりぎり。弁護団は「国は結果の重大性を考え、医療機関の自主的調査を補助するべきだ」として、期限延長も働き掛けている。

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人