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脳の老化現象で「てんかん」 50歳以上での発症に注意

(2017年3月14日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

記憶力の低下、意識消失 専門医受診を

高齢者のてんかんの症状の例

 けいれんや意識を失うといった発作を繰り返す脳の病気「てんかん」。50歳以上で新たに発症することもあり、病気だと気付かないまま交通事故を起こしたり、記憶力の低下で認知症と間違われたりするケースがある。26日はてんかんを啓発する「パープルデー」。主催団体は、誰もが発症しうることを強調し、病気への理解を求めている。 (稲田雅文)

 「高齢者のてんかんは、本人に自覚がなく、家族が“おかしい”と感じて医療機関に連れてくることが多い」。愛知医科大病院精神神経科の兼本浩祐教授はこう話す。

 てんかんは、脳の神経細胞がさまざまな理由から一時的に異常に興奮することで、けいれんなどを引き起こす。日本では約100万人(人口の1%程度)の患者がいるとされる。乳幼児期の発症が最も多く、成人になると発症率が低くなるものの、50歳を超えると脳血管障害などで再び発症率が高くなっていく。

 兼本教授に典型例=症例1、2=を示してもらった。高齢者に多いのは、記憶や聴覚などにかかわる働きをする側頭葉が原因の部分てんかんという。全身のけいれんは起こらず、日常生活の中で突然、十数秒から数分間、意識が消失してしまう。事例のように生返事をしたり、目を見開いて口を動かしたりする。

 発作の間のことは覚えていないため、病気に気付かない人もいる。放置しているうちに記憶力が低下するなどし、認知症やうつ病と診断されてしまうケースもあるという。

 「脳波や脳の画像診断といった検査でも異常が見られないことがある。診断は難しく、見落とされる人もいる」と兼本教授は指摘する。症状に心当たりがある場合は、日本てんかん学会がホームページで公表している専門医を受診したい。

 こうした症状は、抗てんかん薬で治まることが多く、発作を抑えれば元通りの生活を送ることができる。記憶力が低下していた人でも、治療を始めるとある程度は回復するという。

 怖いのは気付かないまま自動車に乗り、運転中に発作を起こすことだ。兼本教授は「脳の老化現象の一つで、だれでも発症する可能性がある。疑わしい症状があれば一刻も早く受診し、治療することが大切です」と呼び掛けている。

「認知症」と誤診も

  症例1 50代男性。4年前から、就寝後に全身が震えるようになった。最近になって1分前後、目を見開いて震える発作が起こるようになったが、その時のことは覚えていない。画像検査と脳波で脳を調べても異常は見つからなかった。徐々に記憶力が低下し認知症と誤診された。

  症例2 50代男性。5年ほど前から妻との会話で生返事をするように。そのときは、ボーッとした表情で口をくちゃくちゃと動かし、問い掛けにも答えない。妻が「おかしい」と指摘しても「病気じゃない」と怒るばかり。徐々に記憶力が低下してきた。

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