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遺影 お気に入りの一枚で

(2017年3月15日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

撮影会、ネットで登録サービス 終活浸透し 前向きに

画像妻と一緒に写真に納まる古山昌之さん(右)=東京都立川市で

 葬儀に参列した人や仏壇に手を合わせる人が、故人をしのぶのに大切な遺影。自分が気に入った一枚を使ってほしいと、事前に遺影用の写真を用意する高齢者が増えている。撮影会を企画する高齢者施設や、インターネットで写真を登録しておくサービスも出てきた。(出口有紀)

 「顔を上げて」「にこっといきましょう」−。東京都立川市の有料老人ホーム「サンビナス立川」の和室に、シャッター音が響いた。カメラマンの呼びかけに、緊張気味だった入居者は表情を和らげた。撮影した画像をその場で確認すると「あ、いいですね」と、思わず笑みがこぼれた。

 撮影会に参加した古山昌之さん(76)は「もっと後で撮ろうと思っていても、急に倒れてしまうこともある。子どもたちに遺影の心配もさせたくなかった」と話す。自身の父母が亡くなった時には「きょうだい4人で写真探しに必死になった」と振り返る。

 古山さんは、妻と一緒に写真に納まった。どちらかが先立てば写真を切って1人の遺影として使うが、「2人とも亡くなった後は、2人一緒の写真を仏壇に飾ってもらえる。私の父母は別々の遺影なので、お互いにそっぽを向いた感じになってしまっていますが」と笑う。

 施設が生前遺影の撮影会を開いたのは初めて。小木曽直人社長(57)は「生前に撮影会を開くと、入居者たちに自分が死ぬことをリアルに突きつけることにならないかという心配もあった。ただ、施設に入ることも終活の一つ。遺影の撮影会も、抵抗を感じるよりも前向きにとらえる人が多かった」と話す。

 担当者たちは、撮影会の最少催行人数の6人に達するかを案じたが、13人が集まった。当日は撮影用に髪のセットやメークのサービスも用意した。担当した村上治也部長(40)は「撮影用に化粧し、おしゃれをすることを楽しんでもらえたこともよかった。今後も終活イベントの一つとして、定期的に実施したい」と話す。

 自分で遺影を段取りしておこうというニーズもある。写真加工業の「アスカネット」(広島市)は、インターネットの専用サイトに利用者が登録した写真を、本人の葬儀の際に遺影にするサービスを提供している。

 遺影は、集合写真から抜き出すことが多いが、顔が小さかったり、ピントが合っていなかったりすることもある。その場合、よい写真を撮っておかなかったことを悔やむ遺族もおり、2011年2月にサービスを開始した。最近は「終活が浸透し、生前に自分の遺影を準備することに前向きな人が多い」(担当者)という意識の変化もあり、申し込みが増えているという。

 サイトへの登録は無料だが、加工料は葬儀社経由で遺族に請求される。問い合わせは、平日午前10時〜午後5時に同社=フリーダイヤル(0120)008193=へ。

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