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事故多い組み体操の「倒立」 準備練習を十分に

(2017年3月24日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

筋力、バランス感覚養って

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 各地で事故が発生している組み体操の中でも、「ピラミッド」などとともに事故が多いのが「倒立」だ。小、中学校の学習指導要領にも盛り込まれていて、なじみ深いが「段階を経ないと危険」と指摘する専門家もいる。安全性を高めるには、どうしたらいいのか。運動が苦手な記者(37)が、専門家に教えてもらった。(細川暁子)

 スポーツ庁によると、2014年度は全国で組み体操事故が8592件で、うち倒立は1167件で2番目に多かった。倒立は2人1組で行う「補助倒立」が一般的だが、事故で多いのは補助者が正面に立つ場合だという。

 2月には、中学2年の次男が倒立で負傷し後遺症が残ったとして、両親が担任教諭らに損害賠償を求める訴訟を起こした。当時小学6年の次男が補助倒立で、正面に立ったペアの子に足を取ってもらえず、床に頭と背中を強打したという。

 授業で教わる機会の多い倒立を安全に行うには、どうすればいいのか。日本体育大体操研究室(東京都世田谷区)の荒木達雄教授に教えてもらった。

 荒木教授は「補助者がいても、一定の腕力や腹筋力がないと倒立は危険」と話す。授業では、次の準備練習を繰り返してから倒立を行うのが望ましいとする。

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 最初は腕力とバランスの練習(1)。カエルのように足を開いてしゃがみ、両手をマットにつける。膝の内側に肘をつけ、足を床から離し体重移動させる。腕に力がない記者は、すぐ足が床についた。

 次は、体を持ち上げるために足を振り上げる練習(2)。支えにつかまり、いずれかの足を振り上げる。荒木教授は「勢いをつけると、もう一方の足も上がりやすくなる」とする。

 次は壁を使った練習(3)。記者が小学校で教わったのは、一人で壁に倒れかかる形の倒立。一方荒木教授は、壁に背を向けて立った状態からマットに両手をつき、足で壁をよじ登っていく練習を勧める。

 両手は肩幅程度に広げ、親指を底辺にした三角形の頂点に視線を合わせる。手を壁の方へ少しずつ近づけながら、足も高くしていく。途中で荒木教授におなかを支えてもらい、体はほぼ垂直に。手や太ももが震えたが、感覚はつかめた。

 最後は補助倒立。ポイントは補助者は横で待ち構えること。正面に立つと、倒立する人の足が顔に当たる危険があるからだ。

 両手を床についた四つんばい状態から始める。足は前後に開き、おしりを上げる。後ろの足をおしり辺りまで振り上げ、反対の足は強く床を蹴る。体が斜め45度程度に上がると、荒木教授が左太ももをつかみ、垂直になるまで持ち上げてくれた。手を床についた状態から始めるので安心だった。これなら恐怖心も減り、繰り返しできそうだ。

 荒木教授は「補助倒立は全身を支えるバランス感覚も養える上に、ペアが力を合わせて成功させる喜びも味わえる。準備練習で段階を踏めば、危険も少なくできる。子どもに練習させる前に、先生に実践してほしい」と話している。

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