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気軽に外出 ウィッグ付き帽子 がん患者らに好評

(2017年3月24日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

名古屋の美容室が製作

画像抗がん剤治療中の女性(右)のために、ウィッグハットに使う付け毛をカットする大脇さん=いずれも名古屋市西区のant.で

 抗がん剤や放射線治療で髪の毛が抜ける患者のため、名古屋市西区の美容室が髪の毛付きの帽子を作っている。一般には医療用かつらが使われているが、ずっと着けたままだと蒸れて頭皮に炎症が生じたり、手が不自由で自力では着けられなかったりする人もいるため、より手軽に着け外しできるものをと考案。自然な見た目になるよう、オーダーメードの製法を取り入れた。(添田隆典)

 帽子は「WIGHAT(ウィッグハット)」の商品名。美容室「ant.(アント)」が、市内のアパレル工場の協力を得て作っている。患者が用意したお気に入りの帽子の内側に人毛を付けた形で、黒のほか茶色などの髪色が選べ、ウエーブもかけられる。店長の大脇篤史さん(39)が希望を聞きながら、付ける毛を用意。縫い付けは工場が担当している。完成までは3週間ほどという。

 大脇さんが製作を思い立ったのは2年前。脳腫瘍で放射線治療を受けた友人の妻が、治療後も後遺症で左手が不自由になり、一人でかつらを着けるのが難しいと聞いた。「美容師として助けになりたい」と、片手でかぶれる髪付きの帽子を試作した。プレゼントすると「着脱が楽で、人目を気にせず外出できる」と喜ばれた。そこで、もっと多くの人の助けになればと、1年前に商品化した。

画像ウィッグハットのサンプル

 同様の帽子はインターネットなどでも販売されているが、ナイロンなどの人工毛の製品が多く、髪形も最初から決まっている。アントでは人毛を使うオーダーメードのため、より見た目がより自然になるという。これまでに全国各地の10人ほどから注文を受けた。

 横浜市の小学3年女児(9つ)は、抗がん剤治療後の半年間、使用した。女児の父親(40)は「汗をかいても蒸れる心配がなく、毎日使えた。手入れも簡単だった」と感謝する。

 来店が難しい人には、大脇さんが店の定休日に利用者の自宅や入院先の病院を訪れている。「病気になっても前向きに生きるためのツールとして広まってほしい」と話す。今後は、より遠方の利用者への対応などのため、取り組みに参加する美容師を募っている。

 値段は大人用が5万6800円(税別)。セミオーダー(3万2400円から、同)もある。(問)アント=電052(870)3324

医療用も「より自然に」

 医療の進歩で、がんを治療しながら社会で活躍する人が増えている。それに伴い、「より自然でおしゃれに」という患者の希望を受け、医療用かつらを工夫する動きがでてきている。

 愛知県日進市を拠点にするNPO法人「全国福祉理美容師養成協会」(通称・ふくりび)は医療用かつらを独自開発。2011年から、提携先の美容室で患者が希望するヘアスタイルにするサービスを提供している。提携サロンは現在、全国98店。抗がん剤治療の知識がある美容師が担当している。

 事務局長の岩岡ひとみさん(38)は「完成度が高いのが強み。おしゃれでいたいという患者さんは多い」と話す。

 NPO法人「日本ヘアエピテーゼ協会」(東京都品川区)でも、全国の約40店が登録。専門教育を受けた美容師がサービスを提供している。

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