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増える「肺がん患者会」 最適の治療学び合う 専門医と連携 交流や冊子も

(2017年3月28日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する
画像「ワンステップしゃちほこ」の設立会で交流する患者、家族たち=名古屋市内で

 肺がんの患者会が各地で次々に誕生している。肺がんは死者数が最も多いがんだが、医療の進歩で、ステージ4になっても社会生活を比較的長く送れるようになり、最新の情報を得て治療を選択する患者が増えていることが背景にある。専門医と連携しながら「患者力を高めていこう」が合言葉だ。(編集委員・安藤明夫)

 4日、名古屋市内で開かれた患者団体「ワンステップしゃちほこ」の設立会。会場を埋めた患者、家族を前に、講師の押川勝太郎・宮崎善仁会病院医師(宮崎市)が「がんとの正しい付き合い方」を説いていた。

 強調したのは「がんリハビリ」の大切さ。がん患者にとって安静はマイナスで、元気に動いて体力、筋力を付けることが治療効果を高め、副作用を減らせる。大量の抗がん剤を投与中でも、有酸素運動で副作用が軽減するというデータもあるという。

 次に「主治医を活用すること」。体調などを積極的に伝え、遠慮せずどんどん質問することで、いいチームワークができていく。「主治医は参謀で、司令官は患者さん本人。質問はメモにまとめておくと時間の節約になります」

 「いのちとの向き合い方」にも及んだ。本当の余命はだれにも分からないが、覚悟を決めたり、希望を持ち続けるために、見通しを知る必要がある。思い悩むより行動し、身近な目標を持って今を生きていくことが大事。「つらい体験をした患者さんは人間として格が上がります」

 押川さんの話は、すべて患者力を高めるためのメッセージ。2年前に設立された「日本肺がん患者連絡会」と共通する理念だ。同会は北海道、秋田、神奈川、三重、福井、滋賀、奈良、兵庫に続き、愛知県を中心に活動する「ワンステップしゃちほこ」が9番目の団体として加わった。岡山、徳島各県でも加わる団体が近く誕生する予定だ。

 同連絡会の代表で、「肺がん患者の会ワンステップ」(神奈川県)を主宰する長谷川一夫さん(46)は「肺がんは、タイプによって治療法が大きく違うし、それぞれの治療が日進月歩。新しい情報を知りたいという思いが高まっている。インターネットを通じて、各地の患者が結び付き、患者会の設立につながっていると思う。日本肺癌(がん)学会が協力してくれることも大きい」と話す。

画像肺がん患者を応援し理解を深めるために作られた冊子

 ステージ4の患者でもある長谷川さんは、患者応援マガジン「肺がんBOOK」や、患者アンケートなどをまとめた冊子「肺がんのわたしがあなたに知ってほしい3つのこと」を仲間と共に出版するなど、啓発活動にも力を入れている。

 アンケートでは「周囲の人に配慮してほしかった言葉や行動」として▽「大丈夫だよー」といわれるとモヤモヤする▽病状について根掘り葉掘り聞いてくる▽かわいそうと言われ、泣かれる▽誰にも言わないように口止めしてカミングアウトしたら即刻広まり、人間不信になった−など、患者の体験が並ぶ一方、友人の心からの励ましに感激した事例も多く寄せられた。

 「しゃちほこ」は、ワンステップの支部だが、独立した活動を進める予定。代表の野村由利夫さん(61)は「患者、家族の情報交換も大事だが、そこに医療者が入ることで会話の質が高まる」と話し、次回は6月24日午後1時から、名古屋市中区、名古屋医療センターで、専門医も交えての「おしゃべり会」を開くことにしている。また、肺がん治療マニュアルを患者向けに分かりやすくした冊子づくりにも取り組みたいという。問い合わせは、野村さん=電090(4154)0688=へ。

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