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子育てしながら がん闘病 患者会で支え合いの輪

(2017年4月4日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

名古屋で初の交流会

画像交流会の参加者たちと笑顔で話す西口洋平さん(右から2人目)

 子育て中のがん患者の交流団体「キャンサーペアレンツ」の活動が広がっている。昨年4月に設立され、会員は30、40代を中心に700人を超えた。3月下旬には、東京、大阪に続いて名古屋で初めて交流会を開催。東海地方を中心にがん患者と家族30人が集まり、共通の悩みを打ち明けた。 (河野紀子)

 「病院には年配の人ばかりで、小さな子どもを持つがん患者がいない。同じ境遇の人を探してつながりたいと思った」。名古屋市で開かれた交流会で、キャンサーペアレンツ代表の西口洋平さん(37)=東京都足立区=が話し始めた。

 会社勤めをしていた2015年2月、4段階で最重度のステージ4の胆管がんと告知された。手術はできず、抗がん剤治療を始めた。小学3年の一人娘や仕事のことで悩んだが、「がんの部位別や若者の患者会はあっても、子育て世代に特化した会はなかった」。自分と同じ境遇のがん患者がつながる場がなく、空白地帯と感じたという。

 悩みを共有する場にしようとキャンサーペアレンツを設立。ホームページ上で会員同士が自由にメッセージを交換できるようにし、定期的に交流会も開く。

 名古屋市の会では、参加者が自己紹介した後、3人1組に分かれて自由に思いを語り合った。がんにかかったことの子どもへの告知、治療費と教育費の工面、入院中の育児や家事など−。話題は尽きない。

 西口さんは「参加者は少しずつ打ち解け、積極的に話をしてくれた。ネット上でのやりとりもいいが、実際に会って話をすることで、自分の率直な思いを吐き出して気持ちを共有できる」と意義を語った。

 国立がん研究センターの推計では、18歳未満の子どもを持つがん患者は年間5万6千人に上る。キャンサーペアレンツはホームページで会員登録を受け付けている。4月15日には東京で2回目の交流会を開くなど、精力的に活動していく。

 「がんになった気持ちやこれからの目標、子どものこと。たくさん話せて心が救われた」。名古屋市の交流会に参加した静岡県の女性(39)は笑みを浮かべた。

 小学4年と1年、3歳の娘3人と夫の5人暮らし。2015年1月、ステージ4の肺がんと告知された。一番下の娘は当時9カ月。「頭の中が真っ白で、明日から生活をどうしようと思った」と振り返る。

 そのまま1カ月入院。不在の間、夫と、近くに住む夫と自分の両親が育児や食事、洗濯などの家事を分担してこなした。

 一番頭を悩ませたのは、娘たちにがんをどう伝えるか。母親が病気になったことは気付いているが、がんを理解できる年齢ではない。傷つけたり悲しませたりするのも怖かった。そんなとき、キャンサーペアレンツのホームページを見つけ、同じ年ごろの子どもを持つ女性とメールや電話でやりとりをするようになった。「『お母さんはがんという病気だけど、治療を頑張るからね』と前向きに話せばいいとアドバイスをもらった。すごく心強く、後押しになった」。娘に伝えると自然に受け止めてくれ、安心したという。

 いまも抗がん剤を飲み、定期的に通院している。副作用の吐き気や下痢のほか、年間に100万円近い治療費、加えて教育費と住宅ローンの工面にも悩まされる。でも、表情は明るい。「たくさんの仲間と知り合って人の輪が広がった。病気は受け入れるしかないので、みんなで支え合って前向きに生きていきたい」と話した。

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