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藤田保健衛生大が「アレルギーセンター」 診療科横断で難症対応

(2017年4月25日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

名古屋・坂文種病院に設置 高度な検査も強み

藤田保健衛生大の総合アレルギーセンター

 藤田保健衛生大(愛知県豊明市)は1月、複数の診療科が連携してアレルギー患者を診療する「総合アレルギーセンター」を、同大の坂文種(ばんぶんたね)報徳会病院(名古屋市中川区)に設置した。花粉症や気管支ぜんそく、食物アレルギーなど、複数の症状がある人が多い半面、分野を横断して診療ができる医療機関は少ない。1人の患者に対し、症状に応じて各科が共同で治療に当たる体制を整えた。(稲田雅文)

 愛知県の男性会社員(43)は昨年五月、食事後に強いアレルギー症状が出て入院。その後から、食事の後にのどが苦しくなったり、腹痛や下痢などの症状が出たりするようになった。

 もともと食物アレルギーをはじめ複数のアレルギーがあり、食事の際はアレルゲン(原因物質)を避けている。それでも症状が出るため、かかりつけの病院では原因が分からず「ストレスでは」と言われた。

 納得できない男性は、総合アレルギーセンターに足を運んだ。総合アレルギー科の矢上晶子教授(47)は、他の診療科の医師とも相談し、内視鏡検査を実施。消化器官の組織を採取して調べると、アレルギー反応が起きたことを示す細胞が多く存在し、消化器官に原因があることが判明した。治療はこれからだが、男性は「原因が分かると前向きになれる」と喜ぶ。

 センターには、総合アレルギー科のほか、呼吸器内科と皮膚科、眼科、耳鼻咽喉科、小児科が加わる=図。「どの科に行けばいいのか分からない」という患者は、矢上教授が窓口となり、何に悩んでいるかなどを聞き取って各科の医師を紹介。診断が難しいケースは、各科合同の会議を開いて、それぞれの専門の視点から検討する。一般的な診療では対応が難しい症例は、大学の研究として原因を調査することもできる。

 大学病院ならではの高度な検査を受けられるのも特徴だ。子どものころから魚介類などの重い食物アレルギーがある名古屋市の女性会社員(30)は、治療で少しずつ症状が改善している。

 以前は、つゆに魚介類のだしが使われたうどんを食べただけで、ぜんそく発作などが出た。食事の際は魚は完全に除去するのが当たり前だったが、ぜんそくの治療で通っていた同病院の呼吸器内科の医師から「食物アレルギーの治療もできる」と小児科の近藤康人教授(54)を紹介された。

 何がアレルゲンになっていそうなのかは血液検査で調べられる。一般的な病院では数種類の品目にとどまるが、センターではマグロやサバ、イカ、サメ、ツナ缶、魚卵など六十以上の品目について調べられる。

 女性の場合、カジキなど食べられそうな品目があった。入院して魚を食べ、どのくらいの量ならアレルギーが出ないかを確認する「経口負荷試験」も受けた。

 アレルギーが出にくくした治療用の魚エキスを数カ月食べることでサケフレークが食べられるようになり、今も毎日一グラムを食べている。専門医の指導でアレルギーの克服を目指す「経口免疫療法」だ。今ではだしなど微量でアレルギーが出ることはなくなり、ときどきカジキの煮付けを食べるようになった。

 女性は「他の病院では『魚は食べないで』と指導されて終わりだった。以前のように思いがけず症状が出ることがなくなり、助かっています」と語る。

 矢上教授は「アレルギーで困っている成人は多いが、どこに相談してよいかが分からずあきらめている人が多い。他の医療機関で治療が困難な患者も受け入れたい」と語る。

 アレルギー 体内に入った病原体などの異物から体を守る免疫機能が過剰に働き、慢性の炎症を起こす疾患。国民の半数がかかっているとされる。2015年12月施行のアレルギー疾患対策基本法では、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギーの6疾患の対策を掲げ、国は適切な治療が受けられる拠点病院を全国に整備する方針を示している。

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