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骨の病気、臨床も研究も 信州大医学部 中村幸男さん

医人伝

(2017年4月25日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

信州大医学部(長野県松本市) 整形外科講師 中村幸男さん(45) 

画像骨粗しょう症患者の治療と研究に取り組む中村幸男さん

 臨床医として骨に関する病気に苦しむ患者の治療にあたりながら、研究者として骨粗しょう症の病理メカニズムの研究に関する基礎研究にも打ち込む。

 長野県出身。松本市の高校を卒業後、自身が野球をしていた経験や祖父母が繰り返し腰痛などを訴えていたことから「スポーツ選手や高齢者を悩ます骨の病気を治したい」と自治医科大に進学。整形外科医を志した。

 大学卒業後は信州大医学部整形外科で勤務。2004年7月から米国のケースウェスタンリザーブ大の研究員として骨粗しょう症などの原因遺伝子の解析研究業務に従事した。06年7月から米国のハーバード大医学部で講師を務め、13年7月に信州大に戻った。

 米国での経験は大きな糧となっている。世界中の研究者が集まる研究機関で言語や文化の壁を乗り越えて得た「誰よりも時間をかけ丁寧に研究に打ち込む姿勢」が、意思疎通が難しい高齢者や子どもの患者の粘り強い診察と治療に生かされている。

 2年前に、自宅でハイハイしている際に大腿(だいたい)骨を骨折した赤ん坊の女の子を診察した時のこと。女の子は症状を詳しく説明できる年齢ではないが、付き添った母親とともに、痛いところやけがをした状況などを一つ一つ丁寧に聞き取った。

 ハイハイして骨折することはあまり例はなく、骨がもともともろかった疑いがある。詳しい検査の結果、骨がうまく形成できず骨折しやすい難病の骨形成不全症と診断された。全国でも6千人しかいないとされる病気だが、投薬治療を始めた結果、症状は改善に向かった。

 「丁寧な問診の大切さをあらためて感じた。症状が良くなった後、母親から『ありがとうございました』と声をかけてもらったことが印象的」と振り返る。

 骨粗しょう症の患者の症状の改善や予防にも力を入れる。「適度な運動で骨密度を上昇させていけば、骨折を防ぐことにつながる」。片足立ちができない人のために、両足で立ってかかとを上げ下げする運動を考案。15年11月には、こうした運動に加え、日常の食事や服用している薬などをチェックできる「骨粗しょう症手帳」を発行。診察した60歳以上の患者に配布している。

 「患者のため」がモットー。「骨の病気で苦しむ人を1人でも多く救いたい」と力を込める。(佐藤裕介)

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