つなごう医療 中日メディカルサイト

リフレッシュ 介護付きの旅

(2017年5月1日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

リフト付きバス 大浴場貸し切り JA知多が参入 好評

画像リフト付きバスに乗り込む参加者=愛知県内で(JAあいち知多提供)

 介護が必要な高齢者や障害者に、旅行サービスを提供する事業者がじわりと増えている。JAあいち知多(愛知県常滑市)では、全国のJAで初めて介護付き1泊バス団体旅行を始めた。運営する福祉施設の利用者が対象で、参加者は歩行や入浴に介護が必要で以前は遠出の旅行をあきらめていた人ばかり。担当者は「旅行を、身体の機能回復につなげてもらいたい」と話している。(小西数紀)

 同JAは、知多半島内で訪問介護やデイサービスを提供する5つの福祉施設を運営。介護旅行は、2015年11月の大津市を皮切りに、16年6月には岐阜県高山市へ出掛けた。各回とも80〜90代の施設利用者と家族計25人ほどが一泊の旅行を楽しんだ。

 特に好評だったのが、ホテルの大浴場での入浴。「本当に入れるとは思っていなかったようで、涙を流して喜んでくれた人もいました」と同行したJAあいち知多の担当者は振り返る。

 参加者は、足腰が悪かったり体力に不安があったりと皆介護が必要。入浴時間は浴場を貸し切り、旅行に同行する施設の職員が入浴を手助けした。

 JA職員は、万一の事故を防ぐため細心の注意を払う。ルートやホテルは事前に下見。当日は普段から参加者に接する施設の職員が同行し、旅行先のJAのボランティア組織もサポートする。看護師が健康状態をチェックし、寝る時も参加者を一人にしない。移動に使うバスも、車いすが簡単に乗り込めるリフト付きの特別車を仕立てた。

 参加者や介護する家族は当初、一泊旅行は無理とあきらめていた。初回募集では「迷惑がかかる」と、二の足を踏む人が多く、職員が家族を説得して参加してもらった人もいたという。

 しかし、旅行が始まると、家族や職員は参加者の元気な姿に驚かされた。旅行の発案者の山口清隆常務理事は「普段は小さく刻んだものしか食べられない人が、少し大きなものも食べられた。土産物屋でも目の色が変わって、どこにそんなパワーがあったのかというほどだった」と振り返る。

 安全に旅行ができると評判が広まり、通常の旅行より一泊5万円前後と割高だが、次回の旅行を楽しみにする人が増えた。5月には石川県を訪れる旅行を企画中だ。ほかのJAからも問い合わせが相次いでいるという。山口常務理事は「参加者に『次も行きたいから元気になりたい』という気持ちを起こしてもらいたかった。ゆくゆくは、海外旅行も」と期待している。

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人