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ギャンブル依存症 自助グループの役割大

(2017年5月2日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

仲間の言葉が支えに

画像都心の繁華街に並ぶパチンコ店に「日本は世界有数のギャンブル大国」と話す田中紀子さん=東京都新宿区で

 カジノ解禁などを盛り込んだ統合型リゾート施設(IR)整備推進法が昨年12月に施行され、政府・各党はギャンブル依存症対策をどう進めるかを議論している。そんな中、筑波大の森田展彰准教授らとギャンブル依存症問題を考える会(東京・田中紀子代表)が患者家族を対象に聞き取り調査を実施。患者の回復に、自助グループが大きな役割を果たしていることが浮き彫りになった。(編集委員・安藤明夫)

 調査は、同会が支援する患者家族224人を対象に実施した。このうち家族が借金の肩代わりをした例が84%。総額1千万円以上に達する例も全体の14%あった。家庭不和や別居・離婚につながった例は63%。借金苦などから横領などの犯罪を起こした例も28%と、深刻な現状がうかがえた。ギャンブルの種目は、パチンコが92%と圧倒的だった。

 アルコール、薬物などの依存症では、医療機関で入院治療を受け、自助グループの仲間同士で支え合うことが回復の道だが、ギャンブルの場合は、健康に直接の害がないため医療機関のかかわりが比較的少ない。

 相談機関について「役に立った」「少し役に立った」を合わせた割合は、自助グループ99%、民間回復施設89%、電話相談85%に対し、医療機関、精神保健福祉センター、保健所などは70%台にとどまった。また、現在はギャンブルをやめている人が利用している機関も、自助グループが73%に対し、医療・カウンセリングは54%だった。

 田中さんは「ギャンブル依存症に対応できる医療機関を増やすことも大切だが、患者の多くは病気という認識を持っていない。全国どこでも身近な自助グループがある状態にしていく必要がある」と話す。現在、全国の約160カ所に自助グループがあり、患者本人と家族向けのミーティングを定期的に開いているが、都市部以外の人は気軽に通えないことも多い。

 田中さんらは先月、4分半の啓発用ムービーを作製し、依存症問題を考える会のホームページに載せて、PRしている。

 ギャンブルにはまり借金を抱えた若い父親が、妻の説得で精神科を受診。紹介された自助グループに夫婦それぞれが参加し「言いっ放し、聴きっ放し、助言なし。内容を外で漏らさない」というルールの中で、安心して胸の内を打ち明け、ギャンブルなしの日々を送っていくというストーリー。監督を務めた小沢雅人さん(39)自身、父親がギャンブル依存症で、子ども時代につらい経験があり、現実味のあるドラマになっている。

 ギャンブル依存症 脳内の快楽物質であるドーパミンの過剰分泌により、ギャンブルをやめたくてもやめられない状態になる精神疾患。2014年の厚生労働省研究班の調査では、国内の患者数は推定536万人と、成人人口の4.8%を占める。以前は、意志の弱さなど本人の資質の問題と考えられており、偏見も根強い。治療には、ギャンブルを完全に断つ必要があり、認知行動療法(つらいときに起きる思考を、現実的で柔軟な考え方に改め、ストレスを軽くしていく治療)が有効とされる。家族も精神的、経済的な被害を受けやすいため、心のケアが大切だ。

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