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救急車到着 全国より遅く 広大な山間地、地域で格差

(2017年5月2日) 【中日新聞】【朝刊】【長野】 この記事を印刷する
昨年11月に長野市消防局が塩崎分署に配置した救急車昨年11月に長野市消防局が塩崎分署に配置した救急車

 119番通報から救急車の現場到着までにかかる時間は2015年、長野県内平均が9分。全国平均の8.6分より遅いのが実態だ。人口がまばらで道路事情の悪い山間地を広く抱える消防署が多い背景がある。高齢化で救急要請は増加傾向で、長野市消防局は救急隊を増やして対応するが、予算の問題などで拡充が難しい地域も多く、格差が際立っている。(竹田弘毅)

 「救急出動の件数は20年後ごろまで増え続けると予想している。救急態勢の充実強化が必要」と長野市消防局の担当者は話す。

 市消防局管内の救急出動件数は15年に過去最多の年間1万8902件を記録。10年前から2割弱の約3千件増えた。16年も横ばいの高水準で推移し、65歳以上の高齢者が65%を占める。

全拠点に救急隊 長野市態勢強化

新しく完成した長野市中央消防署=いずれも長野市で新しく完成した長野市中央消防署=いずれも長野市で

 市消防局は昨年11月、篠ノ井消防署の塩崎分署に救急車と救急隊を新たに配置。18ある全拠点に救急隊を整え、郊外にも素早く出動できるようにした。5月1日から、市中心部に新しく完成した中央消防署が稼働。救急隊を一隊増やし、出場要請の多い市街地の態勢を手厚くする。

 長野市は救急隊の到着時間は全国平均より早い8.3分。増隊でさらなる時間短縮が見込まれている。

木曽広域は13.4分 千曲坂城は7.5分

 一方で、県内には全国平均よりも現場到着が遅い地域が多い。最も遅いのは木曽広域消防本部の13.4分。県内で最も早い千曲坂城消防本部の7.5分と比べて6分近い差があり、1.8倍の時間が掛かっている。

 木曽広域消防本部は木曽郡の6市町村と塩尻市の一部がエリア。香川県に匹敵する面積を4つの救急隊で対応し、広大な山間部を抱える。

 救急隊や出動拠点を拡充するにも予算の壁が立ちはだかる。長野市消防局の場合、消防車両1台とその資機材で約4千万円掛かった。一隊に救急救命士ら8人を配置し、その人件費や資材の維持費も必要だ。救急隊の到着を早める方法は態勢の充実以外にもあるとして、県の担当者は「利用者側の配慮も重要」と呼び掛ける。

 症状の軽い人がタクシー代わりに救急車を呼び、命に関わる患者の要請に応じるのが遅れる事例もあると指摘される。担当者は「本当に必要な人の所に早く到着するため、適正な利用をお願いしたい」と話している。

■通報から救急車が到着するまでの平均時間(2015年)

千曲坂城消防本部7.5分

長野市消防局8.3分

須坂市消防本部8.4分

諏訪広域消防本部8.4分

上田地域広域連合消防本部8.5分

岳北消防本部8.9分

佐久広域連合消防本部9.0分

岳南広域消防本部9.2分

上伊那広域消防本部9.3分

松本広域消防局9.4分

北アルプス広域消防本部10.1分

飯田広域消防本部10.2分

木曽広域消防本部13.4分

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