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ITや人型ロボ 遠隔リハビリに一役

(2017年5月7日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
お年寄りの感情変化

 情報技術(IT)と人型ロボットを活用した遠隔医療でも、お年寄りのリハビリ意欲向上に効果あり−。国家戦略特区として愛知県が昨年度から続ける「リハビリ遠隔医療・ロボット実証プロジェクト」の中間報告で、こんな結果が出た。同県は2018年度まで実証実験を続け、ロボット産業の新たなビジネスモデルに育てたいとしている。(相坂穣)

 体に障害があったり、認知症を発症したりしたお年寄りへのリハビリ治療は、医師の管理下で行うことが義務付けられている。医療介護の人材が限られていることに加え、認知症などで医療機関まで行くのが難しい場合などは、リハビリがおろそかになりがちという。

 このため同県は、患者が退院した後に自宅などでITを活用したリハビリ治療を受ける実験を、国家戦略特区の「リハビリ遠隔医療」として提案。15年8月に厚生労働省に認められ、翌年9月からプロジェクトを開始した。

 実験を行っているのは、藤田保健衛生大(同県豊明市)と国立長寿医療研究センター(同県大府市)、ブラザー工業(名古屋市瑞穂区)系企業などの研究チーム。

 長野県内の介護施設に通う85歳前後の男女15人が参加した実験では、人型ロボットが介護福祉士らの代わりに手本を見せ、1回40分間のリハビリ体操を週1、2度、4週間やってもらった。

 アンケートでお年寄りに10段階で回答してもらったところ、「リハビリ体操への興味」はリハビリ開始前には平均5.0だったが、4週間後には同7.1に上昇した。ロボットへの「抵抗感」は同4.8から同3.4に低下。逆に「親しみ」は同4.3から同7.4に上昇した。

 脳卒中の後遺症や心臓疾患などがあると、リハビリ中の体調管理が重要になるため、お年寄りの耳たぶなどに心拍数や血圧を計測する器具を装着し、離れた場所で待機する医師がモニターで監視する実験も実施。リハビリの動きを再現したアニメーションを、お年寄りが見ながら体操してもらい、どんなアニメが効果的か検証する実験も行った。

 研究チームのリーダーで、藤田保健衛生大の才藤栄一・統括副学長は「リハビリ遠隔医療は過疎地向けと思われがちだが、今後は都市部の高齢者の孤立対策で重要になる。医療、介護人材が限られる中、お年寄りが自宅にいながら外部につながる技術として実用化したい」と話す。

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