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がん検診のススメ 県助成 習慣化図る

(2017年5月13日) 【中日新聞】【朝刊】【岐阜】 この記事を印刷する
画像妻が残した闘病記を読み返す井口さん=中津川市内で

 県内のがん検診の受診率が低迷している。主要5大がん(胃、肺、大腸、乳房、子宮)全てで、県が目標とする50%に届いていない。県は市町村を通じて大腸がん検診の全額助成を始めるなど、受診率向上に知恵を絞る。(近藤統義)

 厚生労働省の2013年の調査によると、県内の受診率は胃がんと大腸がんが37.2%、子宮頸(けい)がんが40.8%、肺がんが40.9%、乳がんが43.4%。乳がん以外は全国平均も下回っている。

 受診率は全体的に上昇傾向にあるが、県の担当者は「意識はまだまだ低い」。有名人ががんを公表すると一時的に医療機関での受診が増えるといい、「普段から検診に行っていないことの裏返し」とも指摘する。

 昨年11月に男女1600人を対象にした県民健康意識調査では、受診しない理由として「心配な時はいつでも受診できるから」「費用がかかるから」「面倒だから」との回答が多かった。

 こうした声を踏まえ、県は本年度から3年間、市町村が実施する大腸がん検診を受ける40〜60代の自己負担をゼロにする取り組みを始めた。手軽な検便で済むため、他のがん検診も習慣づけるきっかけにしてもらう狙いだ。

家族悲しませないために 乳がんで妻亡くした 中津川の井口さん

 検診を受けるのは本人のためだけではない。中津川市の介護施設職員井口実さん(62)は、乳がんで亡くなった妻が書き残した闘病記を本にまとめて出版。ともに苦しんだ家族の立場から、受診の大切さを訴えている。

 妻の葉子さんは1995年、乳がんを宣告された。進行が早く、既にリンパ節に転移していた。手術し抗がん剤を飲み続けたが、2年後に再発。2001年、45歳の若さで亡くなった。

 井口さんが後悔しているのは、宣告の約3カ月前。胸のしこりに気づき指摘したが、葉子さんは「病院に行く時間がない」。幼い3人の子どもの育児に忙しく、検診を受けずじまいだった。

 「せめて子どもたちがあと少し大きくなるまで、私の生命を…」。闘病記には、自身の病状以上にわが子への思いがつづられている。井口さんは12年、この日記を「お母さんの宝物」(文芸社)として自費出版した。

 井口さんは現在、乳がん患者らの団体「あけぼの岐阜」に入り、患者家族からの相談に乗っている。「母の日」の14日は、岐阜市の街頭で検診の啓発活動をする予定だ。「妻がいればと今でも思うことばかり。周りの人を悲しませないためにも受診してほしい」

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