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ギャンブル依存症 甘く見ないで 支援団体連携 国に対策要望

(2017年5月14日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
画像ギャンブル依存症の男性と面談する出蔵洸一代表理事(中)ら=福井市のライフトレーニングで

 政府がカジノ解禁に向けた議論を進める中、ギャンブル依存症の患者や家族を支援する全国8団体が協議会を4月中旬に設立し、国に対策を働き掛けるため連携を強めている。政府は依存症対策を検討しているが、支援団体は「カジノ解禁で依存症患者が増えることは目に見えている」と懸念し、「支援の受け皿を増やすべきだ」と求めている。(梶山佑)

 中部6県から唯一、協議会に参加する一般社団法人ライフトレーニング(福井市)。ギャンブル依存症の患者4人を含む依存者ら20人が登録し、主に平日に通所。患者同士のミーティングを通して、ギャンブルで失ったものについて語り合い、2年間で社会復帰することを目指している。

 代表理事の出蔵(でぐら)洸一さん(60)によると、依存症は「今日はギャンブルをしない」と心の中で決めてもつい手を出してしまい、自分でやめることが難しい場合に診断される。だが「本人も家族も病気だと認識することが少なく、今も支援が十分行き届いていない」という。ギャンブル漬けになっていることを近所や親戚に知られることを恐れて隠す家庭がほとんどで、離婚や窃盗事件などで生活が崩壊してから支援を受けることが多い。

 国内にはパチンコや競輪、競馬などさまざまなギャンブルがすでにあり、厚生労働省研究班による2014年の推計では、依存症の疑いがある人を含め全国で536万人の患者がいるとされる。

 ライフトレーニングは、刑務所の出所者への支援をしていた出蔵さんが2年前に設立。社会福祉士や臨床心理士の資格を持つスタッフ5人が指導に当たる。ただ、依存症は治ったとしていったんは今春卒業した人が、すぐギャンブルに走ってしまったという。

 厚労省は本年度、全都道府県と政令市に依存症患者のための相談窓口の設置を働き掛けるなど、治療体制の整備や自助団体への支援を充実させる方針。出蔵さんは「社会復帰は難しい。依存症は完治しない病気で、支援し続けるしかない」と実感しており、政府には、ギャンブル事業者に支援費用を負担させる仕組みをつくることなどを求める。

患者男性、カジノ解禁反対 「妻の財布、家賃にも手を付けた」

 「パチンコで勝っても負けても後悔ばかり。妻の財布から金をとり、家賃にも手を付けた」。ライフトレーニングの支援を受ける20代後半の男性は、苦悩と挫折の日々を打ち明ける。

 関西の専門学校に通っていた21歳のとき、友人に誘われて行ったパチンコで偶然勝ち、病みつきになった。パチンコ店員のアルバイトも始め、給料の多くをパチンコで使った。卒業後は福祉施設などで働き、24歳で結婚。子どもが生まれてからも暇があれば通い続けた。

 妻や両親に止められても「友達と会ってくる」とうそをついた。育児に幸せを感じるが、「パチンコを始めると子どもの顔は浮かばなかった」。昨年秋、子育てのため仕事を辞めて実家がある福井県に戻り、今年、心療内科で依存症と診断された。2人目の子どもが生まれたこともあって、病院の勧めで2月からライフトレーニングに通い始めた。家族の意向と施設側の指導で、お金はまだ1円も持つことを認められていない。

 最近、街中にパチンコ店がある日本は「異常」だと感じるようになった。「依存症は恐ろしく、しんどいもの。たばこのように、社会で恐ろしさを共有していくべきだ。カジノ解禁は大反対です」

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