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割高な贈賄側を勧める

(2017年5月19日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

陶生病院汚職 医師ら起訴

 愛知県瀬戸市の公立陶生病院の臨床試験(治験)を巡る汚職事件で、同病院の内部事情を知る製薬業界の関係者が本紙の取材に応じた。第三者供賄の疑いで逮捕された呼吸器・アレルギー疾患内科部長の谷口博之容疑者(63)=愛知県日進市=が、治験補助業務会社「ASOCIA(アソシア)」の選定につながる働き掛けをしていたと明らかにした。

 名古屋地検は18日、第三者供賄罪で谷口容疑者を、贈賄罪でアソシアの実質経営者小曽根秀明容疑者(53)=千葉県八千代市=を起訴した。

 関係者によると、アソシアは治験補助業務の同業他社と比べ、委託額が割高だった。しかし、現場の病院職員が委託額の低い別の会社を選ぼうとしても、谷口被告が口を挟み、アソシアを選定するように誘導する言動がみられたという。

 谷口被告は、治験に参加する被験者の確保に定評があり、製薬会社にとって貴重な存在だった。ほかの病院よりも多くの被験者を集め、専門の呼吸器分野の治験で陶生病院は全国屈指の実績を誇った。外来患者にも丁寧に対応し、多くの論文に名を連ねる研究熱心な権威として知られていた。

 一方、治験の終了後に執筆する論文に関しては、最初に名前が出る「ファーストオーサー(第一著者)」になることに強いこだわりをみせていた。論文に最初に名前が載れば医師の名声が高まり、講演に呼ばれやすくなるといい、講演料は1回当たり10万〜15万円だったという。

 起訴状によると、谷口被告は2014年10月〜15年3月、臨床試験の補助業務を、アソシアが受注できるよう便宜を図ってほしいとの依頼を受け、15年3〜9月、義理の娘を同社の従業員として雇用させ、勤務実態がないのに、義理の娘名義の預金口座に7回にわたり計約94万円を振り込ませたとされる。小曽根被告は、便宜の取り計らいの依頼に関する報酬の趣旨で、賄賂を贈ったとされる。

 愛知県警によると、2人はこれまで逮捕容疑を否認。10年ごろ、陶生病院で実施された臨床試験の業務を通じて知り合ったといい、アソシアの15、16年の2年間の臨床試験補助業務の売り上げのうち、陶生病院分は約1億5千万円で、全体の3割強を占めた。

 谷口被告が起訴されたことを受け、同病院組合管理者の伊藤保徳・瀬戸市長と酒井和好病院長は18日、連名で「地域の信頼を著しく裏切ることとなり、深くおわび申し上げる。改めて綱紀粛正の徹底を図るとともに、再発防止策の確立に全力で取り組む」とコメントを発表した。

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