つなごう医療 中日メディカルサイト

「子どもを育む」使命感 二宮病院 二宮剛美さん

医人伝

(2017年5月23日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

二宮病院(三重県四日市市) 小児科医、市病児保育室「カンガルーム」施設長 二宮剛美さん(69)

画像病児保育で預かった子どもを診察する二宮剛美さん

 小児科医として勤務し、併設の病児保育室「カンガルーム」で施設長を務める。「子どもは社会が育てるもの。医師もその歯車の一つ」と強調する。

 三重県四日市市出身。「未来のある子どもに関わる仕事をしたい」と小児科医を志望した。昭和大医学部を卒業した後、三重県内で4カ所の公立病院に勤務し、小児がんや急病の子どもに接した。兄俊之さんが院長を務める四日市市の二宮病院に30代半ばで移った。

 カンガルームは発熱や胃腸炎などで保育園、幼稚園、小学校を休み、療養中の園児と児童を預かる。市が2000年、国の交付金を活用して整備し、二宮病院に運営を委託。市の中心部という利便性や、複数の医師が勤める体制が委託先選定の決め手となった。受け入れの動機を「保育は未知の分野で不安はあったが、子どもを育む仕事に魅力を感じた」と振り返る。

 「病児保育は働く母親たちに感謝される。だから保護者を意識しがちだが、あくまで主役は子ども」と考える。

 預かった子どもたちに異変がないか注意を払う。朝の受け入れ時に診察し、病状が重い子どもには看護師が定期的に巡回。高熱でけいれんを起こすような場合は自ら駆け付け、投薬などの処置をする。呼吸の乱れから肺炎に気付き、別の病院に搬送したこともある。「園や学校、自宅より迅速に対応できる利点はある」と感じている。

 病児保育では、子どもたちは自然でくつろいでいるように見えた。一方「病院の診察では、大半の子どもは緊張している」。外来での診察でも子どもたちにリラックスしてもらおうと、話術を工夫するようになった。

 カンガルームの定員は6人。病状に応じ12人まで受け入れる。開設当初の利用者は年間1000人未満だったが、近年は1500人前後で推移する。インフルエンザなど病状によっては個室を使うこともあり、満室のため受け入れを断らざるを得ない子どもが増えている。利用希望者の増加を受け、市に病児保育室の増設を働き掛けた。

 「理想は病児保育のない世の中。祖父母や近所の人が面倒をみるか、親たちが堂々と仕事を休めるような社会であってほしい」と訴える。現実には保育需要が増え、利用が伸びる。「近隣施設と連携し、希望者を無理なく受け入れたい」と願う。(吉岡雅幸)

同じ連載記事
顕微鏡手術で腰痛救う 中東遠総合医療センター 浦崎哲哉さん (2017年6月20日)
認知症でも幸せに暮らす 国立長寿医療研究センター(愛知県大府市) 大沢愛子さん (2017年6月13日)
マラソン走者救護の要 岐阜大病院(岐阜市) 高度救命救急センター救急部門長 名知祥さん (2017年6月6日)
糖尿病患者の「食」導く 三重県立一志病院 萩原味香さん (2017年5月30日)
患者との対話丁寧に 国立病院機構名古屋医療センター 片岡政人さん (2017年5月16日)
同じジャンルの最新ニュース
「母親を雇用」広がる動き 医療的ケア必要な子や障害児の施設 (2017年6月16日)
寄付でドクターカー更新 (2017年6月13日)
小児病棟に元気 ほほ笑み水族館 (2017年6月3日)
子どもの腕 急に引くとだらり 靱帯ずれて発症「肘内障」 (2017年6月2日)
病児の送迎 始めました 千葉・船橋 保護者に代わり対応 (2017年5月30日)

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人