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月曜午前 心臓負荷高まる

(2017年5月30日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

休み明けで環境変化 仕事多い週初め

画像曜日と時間帯による心臓負荷の違い

 月曜午前の働き方を考えよう−。旭労災病院(愛知県尾張旭市)が、全国の労災病院で平日昼間に働く職員を調べたところ、月曜午前は他の曜日に比べて心臓にかかる負荷が高まっていることが分かり、こう呼び掛けている。休み明けの環境の変化と、週初めで仕事の密度が高まるストレスが原因とみられ、仕事量を減らすなどの工夫が必要となりそうだ。(稲田雅文)

 「以前から月曜午前に、心筋梗塞や脳卒中などの心血管事故の患者が多く出ることは医師の間で知られていた。不思議と65歳未満の勤労者に限られていて、仕事のストレスとの関連が疑われていたんです」。同病院の木村玄次郎病院長(69)はこう話す。

 心血管事故の原因として注目されてきたのが、健康診断や病院の診察室では正常なのに、別の場所では血圧が上がる「仮面高血圧」。仕事中に血圧が上がる場合を「職場高血圧」と呼ぶ。一時的に血圧が高い状態のときがあるだけでも、一般的な高血圧の人と同様、心臓や脳の血管の病気につながると考えられている。

心拍数調査 「会社挙げ対策を」

 木村病院長は、職場高血圧の実態を解明しようと「職場のストレスが血圧を上昇させ、休日よりも平日の方が血圧が高いのではないか」と仮説を立て、2015年度に全国29の労災病院の協力を得て調査を実施した。家庭で測定した血圧が高い人(最高血圧135以上、最低血圧85以上)の男女207人(平均年齢約51歳)が対象。平日の日中に働く事務職が中心で、看護師ら夜勤などがある不規則な働き方の人は含んでいない。

 参加者に自動血圧計を渡した上で、1週間のうちの月曜日と金曜日、休日(土曜か日曜)の3日間、起床時と入眠時、勤務中の午前10時と午後4時の計4回、血圧と心拍数を測定してもらった。

 集まったデータを分析した結果、血圧については一日のうちの時間帯による変動はあるものの、曜日による明確な差は出なかった。一方、心拍数については月曜の午前10時が、金曜や休日の午前10時に比べて明らかに高かった。

 木村院長は「最高血圧の数値に心拍数を掛け合わせた数値は『ダブル・プロダクト』と呼び、心臓の負荷を示す。最近の研究では、血圧以上に心血管事故のリスクを高めると指摘されている。月曜午前のダブル・プロダクトの上昇が心血管事故の増加と関係している可能性が高い」と説明。心拍数が上がる理由については「土日にリラックスしていた体が、月曜午前に急に環境が変わる上、1週間の仕事の段取りなどで忙しく、ストレスがかかるため心臓に負担がかかるのだろう」と推測する。

 心血管事故を少しでも減らすためには「月曜午前の会議は別の時間帯にするなど、会社を挙げて仕事量を減らす取り組みが必要だ」と提言。国は月末の金曜日の仕事を午後3時に切り上げる「プレミアムフライデー」を推奨しているが「金曜日ではなく、月曜午前の仕事のあり方を考えるべきだ」と訴える。

 同病院では今後、血圧が正常な人を対象に同じ調査を実施するほか、聞き取り調査を通じて仕事でどれぐらいのストレスを抱えているかを評価し、ストレスが心臓に与えている影響を調べる。

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