つなごう医療 中日メディカルサイト

マラソン走者救護の要 岐阜大病院(岐阜市) 高度救命救急センター救急部門長 名知祥さん

医人伝

(2017年6月6日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する

岐阜大病院(岐阜市) 高度救命救急センター救急部門長 名知祥さん(41) 

練習用の人形で、胸骨圧迫の手順を説明する名知祥さん練習用の人形で、胸骨圧迫の手順を説明する名知祥さん

 目の前で突然、人が倒れたら、助けられますか−。岐阜県内の医師や住民らに、自動体外式除細動器(AED)を使った心肺蘇生法を教え続けて、10年余りがたつ。

 4月末に岐阜市で開かれた高橋尚子杯ぎふ清流ハーフマラソンでは、6年連続で救護本部に詰め、沿道に控える非番の消防隊員や看護学生ら約260人の救護ボランティアを束ねた。ゴール手前で50代の男性が心停止状態で倒れたが、居合わせたボランティアがすぐに処置し、蘇生させた。「救急車を待っていては遅い。その場の素早い応急処置が大切なんです」

 岐阜市出身。岐阜大医学部を2000年に卒業。同大病院の第一外科に赴任した。当時、国内の医療関係者が心肺蘇生法を本格的に学ぶ体制は、まだ整っていなかった。

 そのころ、ある入院患者が急変し、心停止した。自身の知識を総動員し、蘇生を試みたが助けられなかった。「自分を含め医療関係者はだれもが正しい応急処置を学ぶべきだ」。03年から、欧米で開発された医療従事者向けの心肺蘇生法講習会を受け、2年後には指導者に認定された。

 外科医として県内の病院を渡り歩く間も、他の医師らに講習を実施。07年から岐阜大病院に戻り、高度救命救急センターを任された。

 海外の研究では、マラソン大会に出場するランナーは、数万人に1人が心停止するとされる。そのため、10年に岐阜県揖斐川町のいびがわマラソンで、救護を担当するチームを立ち上げ、11年に始まった清流ハーフマラソンにも携わり始めた。昨年まで5月開催だった清流ハーフでは、ゴール時の気温が25度以上に。12年には、同じ時間帯に10人ほどが熱中症で倒れ、通報が集中し消防も混乱。「局地的な災害だった」と振り返る。

 翌13年からは、重篤な患者が出たら大学病院の担当医に直接連絡する体制に。今年はカメラ付きドローンを飛ばし、上空からランナーを見守った。

 それでも、救護の目が届かない場面はある。大会では、希望者が講習を受け、当日は救護スタッフも兼ねる「ハートサポートランナー」制度を導入している。「基礎知識があるだけでも、助けられる確率は格段に上がる。日常生活にも役立つはず」と力を込めた。(兼村優希)

同じ連載記事
顕微鏡手術で腰痛救う 中東遠総合医療センター 浦崎哲哉さん (2017年6月20日)
認知症でも幸せに暮らす 国立長寿医療研究センター(愛知県大府市) 大沢愛子さん (2017年6月13日)
糖尿病患者の「食」導く 三重県立一志病院 萩原味香さん (2017年5月30日)
「子どもを育む」使命感 二宮病院 二宮剛美さん (2017年5月23日)
患者との対話丁寧に 国立病院機構名古屋医療センター 片岡政人さん (2017年5月16日)
同じジャンルの最新ニュース
せき止め成分 小児禁止 厚労省 コデイン 副作用の恐れ (2017年6月23日)
風邪薬成分 中国製混ぜる 原薬メーカー 無届けで出荷 処分へ (2017年6月23日)
患者取り違え 胃切除 東海市の公立病院 胃潰瘍をがんと (2017年6月22日)
脳死男児の臓器摘出 県立多治見病院 県内発表は初 (2017年6月22日)
◇補聴器フェス ◇認知症の症状と接し方  (2017年6月20日)

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人