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広がる「介護コンビニ」

(2017年6月7日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

店内に相談窓口やサロン併設 高齢社会の地域拠点に

画像高齢者向けのクラフト教室などが行われるコンビニ内のサロンスペース=さいたま市西区のローソンさいたまシティハイツ三橋店で

 おなじみのコンビニの店名と並んで「介護相談所」の看板。店内に入ると、相談窓口とシニア向けサロンがある。高齢化社会を支える介護拠点を併設したコンビニ、いわば「介護コンビニ」だ。コンビニの新たな在り方として広がりをみせている。(白鳥龍也)

 2つの看板を掲げているのは、さいたま市西区のローソンさいたまシティハイツ三橋店。ローソンが2015年から展開する「ケアローソン」の1つだ。

 訪ねてみると、サロンでは、クラフト教室が開かれていた。友人同士で参加したという久保寺栄子さん(93)、石崎和枝さん(63)の2人は、余り布でカーネーションの花を作り「きれいにできた」と笑顔。「いろいろな教室は楽しみだし、介護の相談ができれば心強い。帰りに買い物もできるし」(久保寺さん)と、店の形態をすっかり気に入っているようだった。

 ローソンのヘルスケア本部によると、ケアローソンは「高齢社会の地域要望に対応した店舗モデル」として考案。埼玉、新潟、大阪、広島、福岡など7府県に10店舗を展開する。一定の高齢者人口がある都市近郊部を選んだ。本年度中に30店舗まで増やしたいという。

 約230平方メートルの店舗内の約30平方メートルに介護相談窓口とサロンを設けるのが基本レイアウト。取り扱う商品も、レトルトや冷凍の介護食品、水不要のシャンプー、おむつ用消臭袋といった介護用品の品ぞろえを厚くしている。通路やトイレは、車いすでも利用しやすいように通常の店舗より広い。

 介護事業者がコンビニと相談窓口を一体運営する形態と、コンビニを一般的なフランチャイズオーナーが、介護窓口を専門事業者が別々に運営する形態の店舗がある。ローソンは今春から介護事業大手のツクイ(横浜市)と連携し、4店舗で介護窓口の運営を任せている。

 さいたまシティハイツ三橋店の介護窓口の責任者を務めるツクイの壱岐睦郎(いきむつお)さん(42)によると「久しぶりに実家を訪ねたら親の様子がおかしい」「足がしびれて歩きづらくなってきた」など、介護する側と受ける側の双方から買い物ついでの気軽な相談が寄せられている。相談内容によっては、他社を紹介したり、行政側の地域包括支援センターに連絡をしたりする。相談は無料で、午前9時から午後5時まで受け付ける。

 サロンでは今後、コンビニ内では珍しい認知症カフェも開く計画。住み慣れた場所で最後まで自分らしい暮らしを送ることを目指す地域包括ケアシステムの「一翼を担ってゆきたい」という。

薬局一体型、宅配サービスも

 ローソン以外のコンビニ各社も高齢者向けサービスに力を入れる。

 ファミリーマートは12年以降、各地の調剤薬局やドラッグストアと提携した一体型コンビニ約50店を開設。簡易血液検査や管理栄養士による栄養相談も一部有料で受け付けている。

 セブン−イレブンは、全国1万9500店のうち約8割で弁当を中心とした宅配サービス「セブンミール」を手掛ける。会員は今年3月で約97万人。1年間で2割余増え、60歳以上が約6割を占める。

 日本フランチャイズチェーン協会の統計では、コンビニ主要8社の店舗数は現在約5万5000店。ここ数年、再び増加傾向に転じ、売り上げも増えている。「既存商店の減少に伴う需要があり、高齢者向けなど地域密着サービスがより求められる状況」(セブン−イレブン・ジャパン広報)という。

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