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高保水力糸 生むカイコ 化粧品成分 効率的に 再生医療へ応用期待

(2017年6月13日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
高保水力糸 生むカイコ

 京都工芸繊維大や静岡県立大のグループは、保水力が高く保湿クリームなど化粧品の素材になるタンパク質「セリシン」だけでできた糸を吐くカイコをつくった。遺伝子組み換えで、生糸の成分は作れないようにした。米科学誌に近く発表する。

 京都工芸繊維大の小谷英治准教授(分子生物学)らは、モンシロチョウのさなぎの血液に含まれ、がん細胞に自死を促すタンパク質を、カイコの腹にある糸を作る組織に遺伝子組み換え技術で発現させた。カイコは本来、生糸成分をセリシンが包む2層構造の糸を吐くが、このタンパク質に生糸を作る遺伝子の働きを妨げる機能があるため、セリシンだけの糸を吐くようになった。

 セリシンは製糸工程で不要物として扱われ、アルカリ性の湯で繭を煮て除去してきた。最近は化粧品素材などとして注目され、製糸工程で除去されたセリシンが販売されているが、湯で分子が分解され、保水性が不十分なものが多いという。小谷准教授らがカイコに作らせたセリシンは、1ミリリットルで100〜250ミリリットルの水を蓄えることができる。

 さらに、このセリシンで、再生医療に用いるための胚性幹細胞(ES細胞)を培養したところ、増殖する結果が得られた。小谷准教授によると、遺伝子組み換えカイコを大量に飼育する計画があり「化粧品以外に、再生医療に応用できる可能性がある」という。

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