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手指の痛み 更年期症状かも 女性ホルモン影響 変形する恐れ

(2017年6月13日) 【中日新聞】【朝刊】 この記事を印刷する
画像平瀬雄一センター長

 年齢を重ねるにつれて、主に女性が抱える手指の痛みやしびれ。「使い過ぎ」や「年のせい」として見過ごされがちなこれらの悩みが、更年期症状の一種だということが近年明らかになってきた。放置すれば指が変形し悪化していく可能性もあり、四谷メディカルキューブ(東京都千代田区)手の外科・マイクロサージャリーセンターの平瀬雄一センター長(61)は、手の外科の専門医を受診するなど早めの対応を呼び掛けている。(小中寿美)

 都内に住む女性会社員(51)は3年前、両手の薬指と小指の第1関節(指先に近い関節)が痛むようになり、縫い物など指先を使う作業がしづらくなった。痛みは膝にも広がり、リウマチを疑って専門医にかかったものの、検査結果は陰性。整形外科でエックス線撮影をしても変形はなく、ビタミン剤を処方されただけで痛みは治まらなかった。

 後に訪ねた四谷メディカルキューブで更年期症状を指摘され、合点がいった。関節の痛みと同時にめまいや動悸(どうき)も感じていたからだ。処方されたサプリメントを内服すると痛みは引き、数カ月後には趣味のピアノやフラメンコができるまでに回復した。

画像ヘバーデン結節。指先に最も近い関節が腫れたり曲がったりして痛みも強い。40歳以上の女性に多く見られる
画像ブシャール結節(人さし指と薬指)。指先から2番目の関節がこぶ状に膨らみ、指が曲がって変形してくる=四谷メディカルキューブ提供

 「痛みの原因が分からないことが何より不安だった」と女性。こうした訴えは医師も病気を特定できず、単なる関節炎や「不定愁訴」として片付けられることが多い。しかし平瀬センター長は、放置すれば、第1関節が変形する「ヘバーデン結節」や第2関節が変形する「ブシャール結節」の発症へとつながっていく、と指摘する。

 こうした手の病気は40歳以降の女性に多いことは知られていたが、原因は不明とされてきた。ところが近年の基礎研究で、女性ホルモンのエストロゲンに腱(けん)や関節を包む「滑膜(かつまく)」の腫れを取る作用があり、エストロゲンが減ると腱や関節に炎症が起こりやすくなることが判明。エストロゲンは更年期や妊娠・授乳期に急激に減少することで知られており、痛みやしびれ、変形のある患者の分布と一致していた。

 平瀬センター長は、乳がんや骨粗しょう症を防ぐとして注目されている成分「エクオール」が、エストロゲンに似た働きをすることに着目。エクオールを含むサプリの投与を昨年から始めた。119人の初診時と3カ月後の痛みなどを数値化し評価したところ、およそ6割に改善がみられた。

 変形が少し進んだ患者でも、通常の治療で行われるステロイド注射との併用で効果があった。一方、変形がより進んだ患者では、注射を併せても効果は少なかったという。この結果から「既にある変形はエクオールでは治らないが、痛みやしびれが出た段階で服用して痛みを取り除けば、将来的な変形や悪化を防ぐことができるのでは」と推測している。

 「年のせい」ではなく、ホルモンバランスが影響していることを今回の結果は証明した形。「使い過ぎ」も、利き手かどうかにかかわらず発症することから関係ないという。ただ、草むしりなどで指を酷使すると、悪化することがあるといい、注意が必要だ。

 こうした症状や病気は男性にも起きるが、患者は少ない。ホルモンの変化が急激ではなく痛みの感じ方が違うこと、指への関心が女性ほど高くないことなどが理由として考えられるという。手の外科の専門医は日本手外科学会のホームページから調べられる。

 エクオール 大豆に多く含まれる大豆イソフラボンが腸内細菌によって変換され、作られる物質。変換に必要な腸内細菌を持ち、エクオールを作れる人は日本人で約半数と言われる。エクオールを作れるかどうかは、市販されている検査キットで確認できる。エクオールを含んだ食品の摂取で更年期症状のホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・発汗)を改善したり、骨密度低下の抑制やしわの改善につながったりしたといった報告もされている。

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