つなごう医療 中日メディカルサイト

陽子線がん治療 競争激化 県立病院 中国から患者獲得へ

(2017年6月16日) 【中日新聞】【朝刊】【福井】 この記事を印刷する
陽子線がん治療

 県立病院(福井市)に併設され、開所7年目を迎えた陽子線がん治療センターの累計患者数が、1000人の大台に迫っている。近年は競合施設の出現などもあり、患者数の伸びが鈍化。センターは北陸3県にとどまらず中国にも治療実績を広め、利用拡大を目指している。(山本洋児)

 2011年3月、日本海側初の施設として開所した。陽子線がん治療を経験した作詞家・作家なかにし礼さんの影響などで利用は全国的に増え、14年度は年間最多の187人に達した。15年度以降は減少に転じたが、今年5月26日現在の累計は918人。これまで通り推移すれば「本年度中に1000人に達する見込み」(県立病院担当者)という。

 一方、同種の施設ができ、患者の奪い合いは激化している。現在は全国11カ所にあるが、本年度は関西と愛知で計4施設が新たに開所する。エックス線治療と違い、現在保険が適用されるのは小児がんのみ。治療費はエックス線が平均で数十万円程度なのに対し、陽子線は250万円と割高になる。

 県は、国に保険適用の範囲を広げるよう求めるほか、北陸3県での利用増に重きを置く。1月の石川に続き、6月には福井、富山でもなかにしさんの講演会を開き、治療の選択肢を知ってもらう。玉村裕保センター長も各病院の勉強会で講演しているほか、放射線治療に携わる医師や技師に向けて施設の周知に努めている。

 本年度はセンターに初めて中国浙江省の研修生1人を受け入れる。過去に県立病院で受け入れた研修医を含めて連絡を取り、中国からの患者獲得も狙う。担当者は「県外は単独施設が多いが、県立病院は総合病院なので一体的な治療ができる」とセンターの強みを話している。

 陽子線がん治療 陽子線をがん病巣に集中的に照射し、死滅させる治療法。エックス線に比べ、周りの正常細胞への影響が小さい。手術より体の負担が少ないため、高齢者に優しく、仕事をしながらでも治療できる利点がある。肝がんや肺がんなど、病巣の位置が明確な固形がんが対象。

中日新聞広告局 病医院・薬局の求人