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増える献体 供養が魅力? 「医学が目的」と戸惑い

(2017年6月19日) 【北陸中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する
画像献体した人たちのため開催される金沢大医学類の合同慰霊祭=金沢市宝町で

 自分の遺体を医学部生の解剖に提供する献体の登録者が全国で増えている。お年寄りの間で死の迎え方と向き合う「終活」が広まり、大学病院で火葬し、慰霊祭も営んでもらえると登録する人もいるようだ。大学で献体の登録を受け付ける篤志家団体は「献体は医学への貢献が原点。供養を目的にされるのは・・・」と戸惑う。

 「葬式で迷惑はかけたくない」。金沢市の男性(83)は打ち明ける。男性は20年前に夫婦で東京から転居。妻に先立たれ、近くに親族はいない。医学への貢献ばかりでなく、大学で供養してもらえると魅力に感じ、献体に登録した。

 「終活が広がり、自分の最期は自分で決める人が増えた。核家族化が進み、近くに身内がいない人も多い。親族に迷惑はかけたくないと献体する人が増えている」。杏林大の松村譲児教授は推測する。松村教授は、篤志家団体の全国組織「篤志解剖全国連合会」の会長を務めている。

 会によると、全国で毎年6千〜7千人が新規登録し、解剖は3500件程度。差し引きで考えると、現登録者数は年々増えているとみられる。

 北陸3県では、金沢大の登録者が2012年度の874人から16年度に920人。金沢医科大、富山大、福井大はほぼ横ばい。ある大学の担当者は「都市部より地域の結び付きが強いため、あまり増えていないのだろう」とみる。

 北陸でも火葬した遺骨をだれも引き取りに来ず、その中には供養目的とみられるケースも出ている。

 このようなケースを避けようと金沢大の篤志家団体「金沢大しらゆり会」は現在、納骨先がある人だけ登録している。井沢義武会長は「医学に体をささげる人が心豊かに過ごす団体。火葬や葬式をしてくれると誤解されては困る」と話す。 (中平雄大)

 人生の終末に向けて準備をする「終活」が浸透してきた。相続、介護、葬儀、お墓・・・。いま、北陸地方の終活の現場で何が起きているのかをウオッチする。

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