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費用がかさむ認知症の介護 関心集める民間保険

(2017年6月21日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

公的制度適用外をカバー

認知症の状態別にみた在宅介護費用

 介護保険制度の見直しで利用者の自己負担が増す傾向が強まる中、費用の一部を保障する民間保険商品への関心が高まっている。とりわけ注目されるのが認知症もカバーされる商品だ。認知症の介護では、例えば徘徊(はいかい)に備える見守りサービスは介護保険の適用外。費用がかさみやすいともいわれる認知症の介護が必要になったとき、周囲に迷惑を掛けずにサービスを受けたいというシニア層の願いが、背景にあるようだ。(添田隆典)

 愛知県清須市の無職荒木美智子さん(73)は昨年、太陽生命(東京都)の「ひまわり認知症治療保険」に加入した。この保険は、加齢でなく病気などが原因の器質性認知症と診断され、症状が180日続いた場合、最大300万円の一時金が支払われる。荒木さんは、10年の保険期間で月約6千円の保険料を支払うと、一時金200万円が受け取れる。

 加入を決めたのは、認知症の義母を介護した経験から。親族で10年以上世話をしたが、徘徊などで常に目が離せず、サービス利用料は介護保険の支給限度額を超えた。現在、荒木さんは夫と死別して一人暮らし。健康面の不安はないが「離れて暮らす子どもたちに将来、負担を掛けたくない。もし認知症になったら、子どもでなく介護サービスを頼るつもりなので、今から備えたい」。

保障、より充実

 介護保険の自己負担は、2015年度から収入が一定以上あると2割になり、18年8月からは「現役並み」の所得があると3割まで引き上げられる。こうした状況も、シニア層の目を民間保険に向けさせる。

 生命保険の利用実態を調査する生命保険文化センター(同)によると、介護が必要になった際に一時金や、一定の金額を定期的に年金として受け取れる保険商品は、生命保険各社が提供しており、4月末時点で計42商品ある。介護保険制度が始まる前の1990年代からあるが、最近は以前より保障内容を充実させたり、持病があっても加入審査を受けられたりと加入者側のメリットが増す傾向にあるという。

 こうした商品は、例えば「要介護3以上で年金60万円を生涯受けられる」など、要介護度に応じて受給額が決まるのが主流。しかし、認知症でも体が健康と判断されると要介護度が低くなり、保険の限度額も低くなることがある。そこで、要介護度によらず、一時金が受け取れる仕組みの商品もある。

費用には個人差

 認知症の有無で介護費用が大きく異なるという調査もある。家計経済研究所(同)が11年、親などを在宅介護する全国470世帯を調査したところ、要介護度が低くても、重い認知症があると、費用が大きく伸びる傾向がみられた=グラフ。調査を担当した田中慶子研究員は、この理由を「常に見守りが必要になり、通所施設やショートステイの回数がかさむため」と分析する。ただ、要介護度が上がるとほぼ寝たきりになり必要なサービスが限られることで、費用が抑えられるケースもある。

 しかし、一概に認知症になる可能性がある人は、民間保険の備えが必要ということではない。必要なサービスや身近に介護を頼める人がいるかどうかなどで、費用は大きく異なる。

 介護保険に詳しいファイナンシャルプランナーの黒田尚子さん(48)=千葉県船橋市=は「まず公的な保険の枠内でどんなサービスが受けられるかよく調べてから、民間の保険に加入するか検討した方が失敗は少ない」と話す。

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