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健康な暮らし育む 彦根市の地域医療を守る会代表 川村啓子さん

(2017年6月26日) 【中日新聞】【朝刊】【滋賀】 この記事を印刷する
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 市民の健康増進を目的に、病院だけでなく、行政や住民が連携して進める地域医療。彦根市内で、幅広い業種の専門家を講師に招いて勉強会を催してきた。「医療を人任せにせず、市民が健康に対する意識に目覚めてもらえるように取り組んでいきたい」と意気込む。(木造康博)

 勉強会の講師は、医師や看護師といった医療従事者だけでなく、寺の住職や警察官、県職員とさまざま。高齢者の口腔ケアの重要性、認知症予防、在宅医療、認知症患者との接し方など、幅広い分野を扱ってきた。フォーラムの出席者も含め、45回にわたる勉強会の参加者は延べ1000人近くに上る。

 医療に関心を持ったのは、10年ほど前。がんに関する講座を受講し、自身が受けた手術で苦しい経験をした。医療の勉強を進めるうち、緊急性がなくても救急外来にかかる「コンビニ受診」などへの問題意識を持つようになった。「必要としている人に行き届いておらず、このままでは疲弊してしまう」と、市民が持つ医療への意識の低さを改革する必要性を認識した。

 北海道で地域医療に尽力し、手紙のやりとりで知り合った村上智彦医師(故人)の助言を受けて2010年8月、県議や市議、主婦ら10人が集まり、会を立ち上げるための準備会を設立。翌月、正式に発足した。

 第1回の勉強会では、市消防本部職員を講師に招き、救急車を呼ぶコストや適正利用などを話してもらった。

 勉強会を開く中、11年4月、生活習慣病で通院していた母親の静江さんの病状が悪化。静江さんが入院を望まなかったため、「介護の経験は在宅のモデルケースにもなる。これまで習ってきたことを生かす」と在宅でのみとりを決断した。

 地元の松木明医師を主治医に、排せつ物の処理や食事の世話など、24時間付きっきり。22カ月間介護し、静江さんは13年1月に亡くなった。「母は日本一幸せだったと思う」と振り返り、「介護は実践してみなければ分からないことがたくさんあった」。

 活動の幅が広がり、市内だけでなく、近隣市町の人との出会いが増え、刺激を受けている。「人との絆は宝。つながりがあることで世の中が救われる」。自宅で3年前から「ポンコツカフェ」(要予約)を開き、顔の知れた人たちが相談事や困り事を話し合う場になっている。

 高齢者や一人暮らしの人が増えていく地域社会。「元気で、安心安全に暮らせるように、笑顔で取り組んでいきたい」と今後も情熱を傾けるつもりだ。

 かわむら・けいこ 1954(昭和29)年8月、彦根市生まれ。県外の短大を卒業。ピアノと書道教室の講師を40年近く務める。次回の地域医療を守る会勉強会は9月16日午前10時から、市立病院医療情報センターで開催。消防職員が「市消防本部の救急の現状」と題して話す。参加費100円。同市佐和町在住。

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