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お元気ですか 〈1461〉 増える「過敏性腸症候群」

(2017年6月28日) 【中日新聞】【朝刊】【滋賀】 この記事を印刷する
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 「腹がたつ」「腹をさぐる」など「腹」を用いた慣用句はいくつもあります。ここでいう「腹」とは情動や思考を意味して使われていますが、おなかは脳の働きと密接につながった臓器であることは古くから経験的に分かっていました。

 ストレスを感じたときにおなかが痛くなったり、便秘になったり下痢になったり、そのような経験をお持ちの方は多いのではないかと思います。どの臓器も多かれ少なかれストレスの影響を受けるものですが、なかでも腸はストレスに敏感な臓器なのです。

 過敏性腸症候群(IBS)という病名をご存じでしょうか。この病気の患者さんは潰瘍やがんなど目に見える異常がないにもかかわらず、ストレスが原因で過度に腸の症状が表れます。

 腸の運動や腸の感覚に異常があり、そこにストレスが関わることがこの病気の原因であると分かってきました。ストレスの多い現代社会の中で患者さんの数が増えてきているようです。

 ストレスを避け、バランスの良い食事や規則正しい生活を送ることが治療の第一歩ですが、ストレスをコントロールすることは簡単な事ではありません。腸の動きを整える薬物治療や、心療内科医による専門的な治療で症状が改善し、生活の質が劇的に改善する患者さんも見られますので、思い当たる方は一度かかりつけの医院で相談されてみてはいかがでしょうか。

 ただし、慢性的な腸の症状の原因には、大腸がんや炎症性腸疾患など放置してはいけない腸の病気もあります。特に急激な体重減少を伴う場合や、血の混じった便がみられたり、就寝中にもかかわらず排便のためにトイレに行きたくなったりするような場合は、ストレスが原因と決めつけずに腸の検査を受けることをお勧めします。(滋賀医科大学医学部付属病院光学医療診療部・高橋憲一郎=滋賀県医師会)

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