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四日市公害訴訟 判決45周年 ぜんそく患者の実話 市民舞台に 「教訓を生かして」

(2017年7月1日) 【中日新聞】【朝刊】【三重】 この記事を印刷する
画像「四日市公害の追体験を」と手掛けたミュージカル。出演者たちは本番に向け稽古に励む=四日市市西浦の中部地区市民センターで

 四日市ぜんそくを苦に命を絶った男性患者の実話を基に、市民ミュージカルが一、二日、四日市市安島の市文化会館で上演される。男性の80代の妻から2年前に話を聞き、四日市大の元教授が原作を書き、知人と実行委をつくり出演者を募った。今年は四日市公害訴訟の判決45周年。元教授は「節目に改めて公害に目を向け、教訓を生かしてほしい」と話す。(曽田晋太郎)

 元教授は粟屋かよ子さん(72)=中浜田町。市民団体「CSO(市民社会組織)環境よっかいち」の代表を務め、公害患者と連携し環境保護活動を進める。15年7月の勉強会に男性の妻を招いたのが、上演のきっかけとなった。

 粟屋さんによると、男性は20代でぜんそくを患い入院した。住まいはコンビナートの近くだった。入院生活は14年に及び、病気と家族への迷惑を悲観し、40代で自殺したという。

画像原作を書いた粟屋さん=四日市市安島で

 「男性患者や家族の話を多くの人に伝えたい」。粟屋さんは団体のメンバーに提案し「子どもたちにも届けたい」とミュージカル形式を発案した。原作を書く一方で、メンバーと実行委を組織し、名古屋市の文化団体を通じ、演劇や映画音楽を手掛ける愛知県春日井市の岩瀬喜則さんに演出と作曲の協力を求めた。

 昨年10、12月にはオーディションを開き、四日市市を中心に県内の小学1年〜80代の出演者41人を選んだ。3月に脚本が仕上がり、4月から週1、2回、練習してきた。「市民に自分たちのまちの過去に目を向けてもらいたかった」

 ミュージカルは2幕構成。第1幕は戦後、海軍の燃料製造施設の跡地にコンビナートが建設される。住民は歓迎するが、次第に工場の排煙の影響でぜんそくを発症する。第2幕は男性の実話を基に脚色した劇が演じられ、妻役は「夫の死を無駄にしないで」と語り掛ける。

 笹川中2年宮本彩裕美(あゆみ)さんは妻のひ孫役を演じる。「四日市ぜんそくは授業で初めて知った。劇を通じ公害を知ってもらい、環境を守っていくメッセージを伝えたい」と話す。

 粟屋さんは「ぜんそく患者の犠牲の下に今の四日市や日本の繁栄がある。当時を知る人が少なくなる中、劇を通じ追体験してほしい」と力を込める。

 公演は一日は午後2時と6時、二日は午後2時から。入場料は高校生以上2200円、小中学生1200円。(問)実行委=090(7435)3420

 四日市公害訴訟 1967年9月、ぜんそく患者9人がコンビナート企業6社を相手取り、損害賠償を求めて津地裁四日市支部に提訴した。支部は72年7月24日、判決で企業の共同責任を認め、約8800万円の支払いを命じた。企業側は控訴を断念し判決は確定した。

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