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「ヒアリ 初期対応全力を」

(2017年7月8日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

名古屋港で確認 1週間

ヒアリの発見場所

 強毒を持つ南米原産の特定外来生物「ヒアリ」が名古屋港で確認されてから7日で1週間。大阪南港や兵庫県尼崎市では繁殖能力を持つ女王アリの存在が明らかになっており、専門家は「定着の危険性が高まっている」と警鐘を鳴らしている。

 名古屋港では、先月30日に7匹がヒアリと確認された鍋田ふ頭(愛知県弥富市)で陸揚げされ、飛島ふ頭(同県飛島村)に送られたコンテナ内で、新たにヒアリの疑いがあるアリ50〜100匹が見つかったことが7日に判明。港湾運送業者が環境省中部地方環境事務所に届け出て確認を進めている。同港管理組合は5つのコンテナターミナルで当面、捕獲罠(わな)の設置と交換を続ける方針だ。

 女王アリは今月、大阪南港と尼崎市で見つかったヒアリの中から相次いで確認された。国立環境研究所の生物・生態系環境研究センターの坂本佳子研究員は「今後も繁殖できる個体が上陸する可能性がある。現段階で定着したとは言えないが、危険性は高まった」と指摘する。

 琉球大の辻和希教授(昆虫生態学)によると、女王アリ1匹から半年で数千匹、4年ほどで20万匹の働きアリが増殖する。気候条件などから「関東以西で定着することは十分、あり得る」と話す。ヒアリは公園や農地など、開けた人里を好んで営巣する。国内で毒針に刺された報告が上がっていないことから、辻教授は「仮に定着しているとしても初期段階」との見方を示す。

 辻教授によると、ニュージーランドでは2004年と06年にヒアリの営巣が確認されたが、初期段階で周辺調査と駆除、防疫を徹底し、定着を防いだ。一方、同じ南米原産の特定外来生物「アルゼンチンアリ」が定着した東京都大田区では、国立環境研究所などが根絶に4年を要した。

 辻教授は「いったん定着すると根絶は困難。刺された患者が受診する可能性がある皮膚科に協力を求めるなど、幅広く情報を集め、初期対応に全力を注ぐべきだ」と話す。

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