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月額医療費、一定額超えると還付 「高額療養費制度」知って

(2017年7月20日) 【中日新聞】【朝刊】【その他】 この記事を印刷する

申告が必要 来月から制度変更

高額療養費制度の例

 手術や入院などで1カ月の医療費が一定額を超えると、公的医療保険から超過分のお金が戻る「高額療養費制度」。医療費の家計負担に一定の歯止めを設ける制度だが、知らないと戻ってくるはずのお金を受け取れない。8月からは70歳以上の自己負担限度額が一部上がり、利用者負担も増える。あらためて制度を確認しておきたい。(砂本紅年)

 都内に住む40代の女性会社員は3年前、胆石で1週間入院した。その2カ月後には、手術のため10日間入院。高額療養費の限度額を上回ると考え、払い戻し手続きが不要な「限度額適用認定証」の発行を協会けんぽの支部にあらかじめ申請した。

 病院に認定証を提出すると、本来は約15万円の自己負担額が限度額の8万円強で済んだ。食事代など約1万円かかった保険外費用は全額自己負担したが「預貯金でまかなえた」と言う。

 ファイナンシャルプランナーで社会福祉士の清水香さん(48)は「高額療養費制度があるので、保険診療内の医療費は必要以上に心配しなくてもいい」と話す。「高齢でも入れる民間の医療保険に入る人もいるが、加入時の健康条件がゆるい保険は保険料も高めだ」

 ただ、高額療養費制度の認知度は高くない。確定申告時に税負担が軽くなる医療費控除と混同している人も多い。制度を活用するには、まず自分の限度額を知っておきたい。

高額療養費制度の主な見直し

 限度額は、年齢や所得によって異なる。例えば、70歳未満で一般的な所得層(年収約370万〜約770万円)の場合、医療費が26万7千円(窓口での自己負担は8万100円)を超えると、制度が適用される。

 仮に医療費が総額100万円(自己負担は3割の30万円)かかったとすると、限度額は8万100円に超過分の1%を足した8万7430円となり、高額療養費として21万2570円が戻る計算=表上。ただ保険適用外の入院時の差額ベッド代や食事代などは対象外。

 さらなる負担軽減策もある。治療が長引いて、直近1年間に3回以上制度を利用すると、次回から限度額は下がる。一定の条件が合えば、複数の医療機関や同じ世帯内の医療費を合算できる仕組みもある。

 支給の申請窓口は、公的医療保険の種類ごとに異なる。国民健康保険は各市区町村の担当課、会社員は各健康保険組合か協会けんぽ。自ら手続きする申請主義がほとんどだ。受診月の翌月から2年以内は、過去にさかのぼって申請できる。支給は申請から約3カ月後になる。前述した限度額適用認定証があれば、窓口での支払いは限度額までで済む。

 制度の計算方法や年収区分は、70歳未満の現役世代と70歳以上とで大きく異なる。基本的に70歳以上は、現役世代より手厚い。しかし8月からは、住民税を払っている層は負担が増える=表下。「余力のある高齢者に負担を求める流れの一つ」と清水さん。

 来年8月にもさらに負担増がある。住民税非課税の低所得者は据え置かれる。窓口での支払いができない人のために、無利子の貸付制度もある。

 お年寄りを狙った還付金詐欺が絶えないが、高齢者の場合は還付手続きが不要なケースも多い。必要な場合も、書類での口座登録などで、お金のやりとりはない。清水さんは「『ATMで還付手続きを』という電話はかかってこない。だまされないで」と呼び掛けている。

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